細菌性カリエス(虫歯)2

      2018/07/24

僕が最初に虫歯は電気化学的腐食ではないか?と気がついたのが、このサイトで、
東工大の丹治先生の研究室のHPの中の「微生物腐食」の記事です。

http://www.biochemeng.bio.titech.ac.jp/research/biofilm/cathodic%20protection/cathodic%20protection.html

全文引用してみますが、重要なのは、Fig.1とFig.2です。

実際の歯質(ハイドロキシアパタイト、HA)の内部にはe-(電子)は流れず、代わりにH+(プロトン、水素イオン、酸そのもの)が電子とは逆向きに流れると思われるのですが、

これは「酸素濃度差電池」と知られているこの図の酸素の多い向かって左側から酸素の少ない右側に流れる矢印に相当するのがH+です。

電極はFe(鉄)の代わりにHA(ハイドロキシアパタイト、歯質)に置き換えてください。

そして、H+が右側の電極から外部に流れ出る時に、HA中のCaから電子を奪ってH2となり、CaはCa2+となってHA中から溶出します。
これを虫歯だというわけです。

微生物腐食と言いながら、微生物は必ずしも必要ではなく、酸素濃度差電池の形成がその腐食の原因で、単純な外部電源(電池等)でも良いので、
少なくとも虫歯は虫歯菌が出す酸で溶けるというのは誤りです。

実際に歯をpH3の水溶液に数週間浸漬しても溶けなかったという実験結果から、水素イオンの還元 2H+ + 2e- → H2というのは主要な起電力ではなく、酸素の還元 O2 + 2H2O + 4e- → 4OH-による起電力(4e-の発生、酸素濃度差電池の形成)が優勢と思われる。

臨床的には細菌性カリエスをそれほど頻繁には見かけなくなったとはいえ、微生物腐食というカテゴリーが存在する以上、虫歯の予防に歯磨きをするというのはやはり有効と言える。飲食直後の「重曹うがい」の方がより効果的だと思うが。

ーーーーー引用開始ーーーーー

カソード防食によるバイオフィルムの制御

鉄などの金属が錆びる現象は一般によく知られています。鉄を水溶液に浸漬すると,速やかに鉄イオンの溶出反応が生じます。

Fe → Fe2+ + 2e-

鉄の腐食反応とは,鉄が酸化される反応すなわち鉄イオンの溶出反応のことを言います。電気的には,酸化反応(アノード反応)は常に 還元反応(カソード反応)と共役して進行するため,鉄の腐食反応には以下の3種類の還元反応が起こります。
酸素の還元 O2 + 2H2O + 4e- → 4OH-
水素イオンの還元 2H+ + 2e- → H2
水の還元 2H2O + 2e- → H2 + 2OH-

 それでは,なぜ金属表面にバイオフィルムが形成されると腐食が促進されるのでしょうか。微小電極によりバイオフィルム内の溶存酸素 (DO) 濃度を測定すると,金属表面に好気的な領域と嫌気的な領域が偏在することがわかりました(Fig.1)。

Fig.1  Distribution of oxygen concentration in biofilm on carbon steel
 同一の金属表面に酸素濃度の異なる領域が存在すると「通気差腐食」が進行します。通気差腐食の特徴は鉄の溶出(腐食)が嫌気的領域において 局部的に生じる点にあり,一旦局部腐食が開始されると,その個所はさらに酸素の供給が減少することから腐食が促進され孔食が進みます。従って, バイオフィルムの中で生物活性が高い箇所が選択的に腐食すると考えられます(Fig.2)。

biofilm02.jpg
Fig.2 Differential aeration corrosion in biofil on carbon steel
金属の腐食反応を防止する技術の1つに電気防食法があり,大きくカソード防食法とアノード防食法に分けられます。 カソード防食法は,防食対象の金属に対してその金属よりもイオン化傾向の大きい(イオンになりやすい)金属を電気的に接続し, 防食対象の金属の溶出を保護する流電陽極法と,防食対象の金属に対して別の金属を対極として用意し,防食対象の金属が陰極 になるように外部電源を接続する外部電源法があります。私達の研究室では,外部電源式カソード防食(Fig.3)を行い,バイオフィルム の制御機構を明らかにすることを目的としています。

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Fig.3 Cathodic protection on carbon steel

 - 削らない・抜かない歯科治療, 虫歯の電気化学説