歯科医院長mabo400のブログ

外傷性の虫歯7(歯根面・隣接面カリエスの生成理論)

 
この記事を書いている人 - WRITER -

60代女性、右下6、頬側、遠心2次カリエス

頬側歯茎部にカリエスが見えるので冠を除去することにした。

冠を除去してみると、冠内面の歯茎側には硫酸塩還元細菌の代謝産物の黒い硫化鉄FeSが付着している。虫歯によるものか、元々WSD(楔状欠損)があったのか、詳細は不明だが、その部分はより広範囲にFeSが付着している。
この細菌は嫌気性細菌なので、この細菌の生息に適した環境だったのだろう。

ほとんど全ての金属冠やメタルインレーの歯茎部のセメントは効いていない。それは当然のことで、歯茎部ほど金属が薄くなるので咬合力で変形しやすく、セメント崩壊の原因になるからだ。
テーパーをなるべく付けないのがこれを防ぐ方法だ。支台歯形成法はショルダーが最も長持ちする。ナイフエッジやシャンファーは良くない。CAD/CAM用のディープシャンファーはダツリしやすい。特に保険適応のハイブリッドは撓むのであっさりダツリするだろう。自費のジルコニアはヤング率が高いので、まだ良い。

当然だが、最善はCRで最小限の歯冠修復に止め、神経を取って冠にしないことだ。

冠除去した支台歯をみると、やはり頬側にはWSD(外傷性咬合に起因している歯茎部の欠損)が元々あり、セメントが溶出した跡に硫酸塩還元細菌が生息していたのだと思われる。FeSはイオン伝導を妨げるので、急速な虫歯の進行は抑制される。

ところが、黒くなっていない遠心歯茎部のカリエスは、広範囲な軟化象牙質になっていた。
一般に同じ歯でも遠心の方が酸素濃度は低くなるので、水素イオンはこの部分から放出され、カルシウムから電子を奪って軟化象牙質(虫歯)を作る。

金属は歯質よりイオン化傾向が小さい(裏を返せば錆びにくいともいう)ので、歯質と金属が電解質を介して接していると歯質の方が電気的に腐食する(異種金属腐食の一形態)。

虫歯を除去したところ、遠心にも大きな穴ができているのが分かると思う。

虫歯をCRで修復して

型取りして石膏作業模型を作り、

口腔外で冠を作成する。金属を使うのなら銀合金が一番良い。不都合な真実だが、高カラットの金合金や白金加金(パラジウム合金も)は虫歯になりやすい。なぜなら歯質とのイオン化傾向の差が大きいからだ(全く知られていないが、錆びやすい金属の方が歯質を虫歯にしにくい)。ただ、銀合金は磨耗しやすいので、耐磨耗性の高いコンポジットやハイブリッド系の素材で咬合面を作ると良い。言っておくが、僕は審美性を重視していない。理論的に材料を吟味していくと、たまたま白くなっただけだ。

口腔内セット

この記事を書いている人 - WRITER -

- Comments -

メールアドレスが公開されることはありません。

Copyright© I歯科医院の高楊枝通信。 , 2019 All Rights Reserved.