今日の充填治療428( 上級編)

20代女性、左下7、自発痛+ 002431
Fluoride bomb (フッ素爆弾)と呼ばれるタイプの虫歯で、虫歯の入り口は狭いが、
内部の象牙質が溶けて無くなっている。
フッ素で表面のエナメル質を硬くすると、エナメル質は溶けないが
象牙質は溶けるので、象牙質だけが溶けるのだ、という解釈だが、
まあ、違うでしょう。
そもそも硬いというのと溶け難いというのは別の話だ。
虫歯の電気化学説によれば典型的な異種金属接触腐食です。
イオン化傾向がエナメル質よりわずかに象牙質の方が大きいので、
象牙質が腐食電極、エナメル質が対電極となり象牙質だけが選択的に溶ける。
内部に侵入した酸産生菌の出す酸で溶けるのなら、エナメル質だって多少は溶けるだろう。しかし、全くエナメル質は溶けていない。
歯質の主成分のハイドロキシアパタイトは電子の代わりにプロトンが流れるので、極性は金属の逆だが、同じように考えることができる。
エナメル質は極力残している。
また内部の軟化象牙質(虫歯)も露髄しない程度に残している。
細菌がいても問題ない。
そもそも虫歯は細菌感染症ではなく、電気化学的な腐食なので、イオンの出入りを遮断するだけで、虫歯は進行しない。
虫歯治療の本質はイオン伝導の遮断だ。
痛みも瞬時に消える。
このことは全く知られていない。
α-TCPセメント+抗菌剤で覆とうする。仮に露髄していても慌てなくても良い。
止血して直覆する。
ましてや、麻抜(神経を取る)など考える必要はない。
またこのセメントで軟化象牙質は再硬化して虫歯は治る。
CR充填後