歯科医院長mabo400のブログ

今日の充填治療463.04(上級編)

 
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30代女性、右下5、インレー2次カリエス

この方、シェーグレン症候群ということで、唾液が少ない。
歯周病、もしくは外傷性咬合により歯槽骨が下がり、歯根が露出すると、歯肉縁下の虫歯になってしまいやすい。電気化学的には酸素濃度差腐食の条件が整いやすいからだ。また電気化学的には唾液がプロトン(酸)を吸収(電気的にはショート)することができにくくなる。
これが歯肉縁付近にカリエスフリーゾーンがあると言われている理由なのだが、電気化学的にしか解釈できない。

治療する側からは唾液との戦いがないだけ処置はしやすい。

前回のつづき

http://mabo400dc.com/dental-treatment/electrochemistry/今日の充填治療463-03(上級編)/

歯肉縁下の虫歯は治療困難につき抜歯の適応となっても仕方がないと学生の時には習った。
確かに治療困難なので、担当歯科医師も苦労していたようで、色々挑戦していたようだが、なかなか治療はおぼつかないようだ。僕のように一回で終わるなんてことは、通常の治療法しか知らない歯科医師(残念ながらほとんど全て)には想像すらできない。

このような困難症例はよく手がけているとは言え、僕でも多大な時間がかかってしまう。
心身共に消耗が激しい。本当はしたくないのだ。身体がもたない。
しかし、CRで再建する方法しか歯髄を保存できないので、歯の寿命を延ばすために、なんとかしてあげたいとは思う。神経を取った歯は人生100年時代には対応できないのだ。

・・前回便宜的に除去したインレーの近心半部分は仮封していた。

インレーを除去して裏装セメントだかレジンを除去して、そのさらに下にある虫歯を除去していく。
軟化象牙質を追求していくと歯肉縁下2〜3mmになってしまった。
それに際しては歯肉出血を最小限に抑えることが重要だが、軟化象牙質除去と歯肉の損傷は相反する関係だ。

ここが難しい。

マージン部分は接着力を確保するために新鮮歯質が必要なので、困難を乗り越えるしかない。
歯髄側の軟化象牙質はα-TCPセメントで再硬化するので、どうでも良い。

黒くなっている部分は隙間があったということだ。今回はFeSではなくサホライドだ。

隣の6の隣接面カリエスも処置する。辺縁隆線にクラックが見えるだろう。これが虫歯の最初の切っ掛けになる。


ほとんど内部の象牙質は残っていない。しかし露髄はしていない。麻酔をしてしまうとこのようなギリギリ歯髄を保存する処置はできない。最初から最後まで完全無麻酔だ。麻酔は健全歯質を削るためにある。麻酔を使っては、なるべく健全歯質を残すというコンセプトにはそぐわない。痛くなったらそれ以上削る必要がないということだからだ。逆に虫歯は削っても痛くない。
患者さんは終始痛くなかったとおっしゃるのだが、それだけ健全歯質が残っていない、状況は悪いということだ。

エナメル質が折れないように注意しながら作業を進める。象牙質の裏打ちがないので、チッピングしやすい。

α-TCPセメントで覆罩して、


2回法でCRを築成、歯冠を再建していく。


6の近心もCRで再建する。

後はふつうに再建。



ブラケット接着用○ーパーボンドは除去していないが、これで終わりw

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