歯科医院長mabo400のブログ

外傷性の虫歯4.01(歯根面・隣接面カリエスの生成理論)

 
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20代女性、右側過重負担による虫歯、自発痛ー

前回のつづきです。
http://mabo400dc.com/dental-treatment/electrochemistry/外傷性の虫歯4-00(歯根面・隣接面カリエスの生成/

本題に入る前に、外傷性の虫歯をどのように管理していくか、ちょっと触れておきたい。
このような画像を見ると大方の方は歯科医師を含めて、ギョッとすると思う。
こんな虫歯があるのに、治療しないの、、!?と思うだろう。

一般には虫歯の進行を止めることはできないので、早期発見・早期治療が必要と信じられているが、実際はそうではない。虫歯の進行を止めることもできるし、自然に治ることもあるのだ。

これから供覧する虫歯の画像は右側ではなく、左側であったり、上顎前歯部であったりするが、明らかな隣接面カリエスがあるにもかかわらず、10年このままで何もせず重曹うがいとナイトガードと仰向け寝だけで管理している。

以下は鏡像なので、左右が反転している。

上顎前歯の2番の遠心隣接面に虫歯がある。
成人の虫歯には必ずと言っても良いほど外傷性の咬合が隠れている。
この虫歯は横見き寝をしていて、3番に押されて2番の薄いエナメル質にクラックが入ったことが虫歯の原因だ。横向き寝が外傷性咬合かと言われると疑問だが、広義の外傷力には入るだろう。人間の頭の重さは4.5kg位はあり、これが就眠時に隣接面にかかるわけだからエナメル質にクラックを生じさせるには十分だ。同時に1番は前方に転移しているが、原因は同じだ。

こんな虫歯が10年も進行しないとか信じられないかもしれないが、事実だ。

虫歯を充填治療して、30年もったとか50年もったとか、歯科治療は結構もつ場合もあるよねと思う人もいるが、何にもしなくてももつかもしれないし、何をしても悪くなるばかり、何もしなかった方がかえって良いということもある、ということだ。
ただそれは結果論でしかないのだが、削ってしまうと本当はどうだったのか分からなくなることに歯科医師は救われている。

右側はクラックから欠けたのでCR充填したが、何度もCRごと欠けたので歯冠が崩壊する前に補強冠を装着した。

以下は左側上顎と下顎だが、隣接面のクラックから硫酸塩還元細菌が侵入して硫化鉄FeSを代謝して黒くなっている、これによって虫歯の進行は抑えられる。FeSは水素イオンの伝導を阻害するからだ。
この状態は外傷力さえなければ安定しているので、歯科治療をする必要はない。

このような画像を見せられると頭が混乱する一般人どころか、歯科業界人も多いだろう。
特に歯科医師は虫歯を見たら、いや黒くなっているだけで、それはお金にしか見えないのだw


つづく

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Comment

  1. さくら より:

    外傷性の虫歯の現状維持ナイトガードが必須なんですか?
    一生つけ続けなければいけないのでしょうか。

  2. Opus 0 より:

    >虫歯を充填治療して、30年もったとか50年もった
    2000年頃にMI「歯はいじるほど悪くなる」が提唱されはじめた時、このような反証がありましたが、
    それに対しての反論が
    「そういう症例はそもそも治療の必要がなかった」
    で、
    >何にもしなくてももつかもしれないし、何をしても悪くなるばかり、何もしなかった方がかえって良いということもある
    ということですね
    私も10代の充填治療はけっこうあり、30年40年50年たっても変化ありません
    子供心に、ちょっと黒く着色したくらいでなぜそんな削る?
    と思いましたから、おそらくほとんど治療の必要なかったのでしょう
    加齢による(まだそういう知識のなかったころのかたいものをかむ・かみしめ・くいしばり・TCH・ブラキシズムも影響してると思いますが)破折以外は歯科医行く気なくなりました
    現在大多数の歯科医はMI標榜してますが、実際はどうなのでしょう

    • mabo400 より:

      実際は掛け声だけでしょうね。。削ってなんぼというのは変わっていませんし、MIを徹底させると高楊枝を咥えるしかないですからw

  3. N.S より:

    顎関節症治療(中学生息子)においてのメール相談では、お世話になりました。
    最初の歯科医院では、顎関節症用に作成したマウスピースを2ヶ月装着しましたが、改善せず‥
    転院した矯正歯科医院では、ナイトガード装着を継続しております。(整体の治療併用にて、顎関節の症状改善)
    ナイトガードは、もって、1ヶ月〜1ヶ月半です。
    主に奥歯の所が割れてしまいます。
    (奥歯は虫歯が有ります。重曹うがいで様子を見ています。矯正歯科医師は、虫歯に気づいているはずですが、治療を勧められません。)

    mabo先生の記事を読ませていただいて、改めてナイトガードの必要性を痛感しております。

    • mabo400 より:

      ナイトガードが1ヶ月程度しかもたないのは、重症のブラキシズムです。厳しいです。
      顎関節症もそれが原因の可能性が高いです。

      ブラキシズム(開口も?)なんとかしないと、その奥歯から崩壊してしまいそうです。
      その崩壊(応力腐食割れ)、これからアップ予定です。今晩か明日。

  4. ひろ より:

    外傷性による虫歯も重曹うがいで進行を防げるのですね。

    削って治療するかどうかの基準は神経まで広がっているかどうかですか。

    • mabo400 より:

      削って治療というのは補強冠のことですか?
      これは経過観察しながら、歯牙の機械強度を越えそうだったらやります。
      ケースバイケースで、見た目がこうだから、自覚症状がどうだから、というわけではありません。
      歯牙の機械強度は一般の歯科医師は考えません。
      機械工学系の考え方です。

    • ひろ より:

      ありがとうございます。機械強度の考え方は一般の歯科ではなさそうですよね。

      上下の奥歯の隣接面カリエスは安定しているようですが、FeSがバリアになるので仮に重曹うがいをしなくても進行しづらいでしょうか。

  5. mabo400 より:

    それぞれの重要度というか、虫歯予防への寄与度なんですが、
    荒っぽくいうと

    外傷性咬合の管理>>>>重曹うがい>FeS

    こんな感じです。

    • ひろ より:

      ありがとうございます。
      管理というのはかみ合わせもあると思いますが、仰向けに寝たり、歯ぎしりや食いしばりによるマイクロクラックの発生と現状悪化を防ぐという意味でしょうか。

  6. mabo400 より:

    そうです。寝ている時のブラキシズムだけではなく。起きている時の嚙みしめ、TCH、硬いものや歯ごたえのあるものガムなど長時間の咀嚼など腐食工学でいうところの常に応力がかかる時の応力腐食割れを防ぐということです。

    • ひろ より:

      根本的な要因である応力腐食割れをしてしまえば再発や進行につながりますものね。

      その対策がしっかりと出来れば、すでにクラックにより発生した虫歯はFeSで黒くなっているので進行しづらいと考えて良いでしょうか。
      進行対策として重層うがいもした方が安心かとは思いますが。

  7. mabo400 より:

    ま、そうですが、応力腐食割れはマイクロクラックで通常のクラックとはちょっと違います。

    • ひろ より:

      通常のクラックは比較的大きなものですものね。

      こちらの写真の上顎前歯2番のクラックはマイクロクラックと考えて良いですか。

  8. mabo400 より:

    僕の認識では通常のクラックです。
    マイクロクラックは応力腐食割れで検索してイメージしてください。
    歯科で言うところのものと違うかもしれません。

    • ひろ より:

      なるほど。
      いくつか検索してみましたが、応力腐食割れは亀裂のように複数の細かなヒビが部分的に発生しているのですね。
      負荷がかかればなおさら発生し悪化しやすくなりそうです。

      横向きに寝たりして歯が歯を押すことで入る細かなヒビはクラックの方と認識しました。

      お休みのところ、色々と教えて頂きありがとうございます。

    • ひろ より:

      もう一点お聞きしたいことがあります。
      日頃、横向きに寝ることでクラックの原因となることはあるようですが、整体等でうつ伏せで顔を横に向けてのマッサージをされた場合にも同様のことが考えられますでしょうか。

      短時間でも横向きに寝ることでクラックの原因になるのかなと疑問に思いお尋ねしました。

  9. mabo400 より:

    時間的に短いので大丈夫では?w

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