今日の充填治療その19

   

虫歯とは細菌が出す酸で歯が溶けることだ、
とまことしやかにいわれているが、
違うようだ。

簡単な実験をしてみれば分かるが、
細菌が出すpH4前後の酸では歯は溶けない。

虫歯は金属の腐食と同じで、

電気化学的腐食=電食だ。

なぜなら歯は金属化合物で電導性が有り、イオン化傾向を測定できるからだ。

詳しい説明はここを参照していただきたいが、

1、異種金属接触腐食
2、通気差腐食

が虫歯の主な原因だ。

虫歯の真の原因も分からず、
対症療法を繰り返す歯科の現状を考えると心が痛む。
それが100年以上も続いているのだ。
いくらなんでも、ひどすぎるだろう。

それはともかく、
今日は予防管理をしようとして、
5年後に再来院された時は、大きな虫歯になっていた症例。

20代前半、男性、カリエスリスクは低いが食生活に問題有り、
清涼飲料をいつも飲んでいるという。

5年前2005/6/4
左下7レントゲンでは確認できるが視診では難しい。

予防管理でもう少し再石灰化を期待したが、
5年間来院されなかった。

2010/11/15
歯冠は崩壊しているが、
自発痛はまだ出ていない。

2010/11/27
あらかじめ水硬性セメントで歯肉を圧排しておく。

軟化象牙質は全部除去すると露髄するので、
適正な接着面を得るために歯冠周囲だけ
健全歯質が現れるまで軟化象牙質を除去する。

アパタイト系ライニングセメントに抗菌剤(セフゾン、クラビット)を添加したものを塗布。

フォーミング・ストリップスをさらに加工したものを使い、
通法にてCR充填。
遠心壁はフロー性の良いCRを使う。
#具体的な使用器具材料を知りたい方はメールでお願いします。

今日は充填処置に余裕があったので、
充填途中の写真が撮れた。
光が届く範囲で少しづつ充填する。

咬合面は耐摩耗性にすぐれたCRを使う。

術技が難しいわりには診療報酬が少ないこともあり、
こんなことをしている歯科医院は少ないと思うが、
なぜうちがこんなことをしているかというと、

石油が減耗した時を想定してのことだ。

石油が減耗すると、現在普通に行われている歯科診療は
非常に高価なものになることが予想される。
電気も機械器具も材料も高騰するからだ。
それも数10年後とかではなく、
10年後とかそんなに遠い将来ではないかもしれないのだ。

そこで、最小限の材料でどこまでやれるかの実証実験の意味合いがある。

もちろん、
虫歯は予防に努めるのが最善で、
歯を削るとしても最小限にとどめる、
という究極の目的に沿ったものであることは言うまでもない。

つづく

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