今日の抜歯・再植術シリーズ3 (2)

      2017/11/07

最近やたら見かけますが、
新規来院患者の約半数は咬合に問題をかかえている方々なのです。

特に虫歯とかはないのだけれど、
この歯が痛い、沁みる、違和感があるといった感じです。

もちろん、あからさまに口が開かないとか、顎が痛い(顎関節症)、
歯が欠けた、割れたとかいう患者さんもいらっしゃいますが、

多くは不定愁訴なのです。

また一見歯周病なのだけれど、咬合の問題が隠れているように見える患者、
様々です。
もちろん、症状が複合している人もいらっしゃる。

原因は直接的には、歯ぎしり、くいしばり、噛み締め、早期接触などによる咬合性外傷です。
間接的な原因は元々の歯並びの問題があったり、
すり減った前歯があったり、
下手な歯科治療の問題もあるかもしれませんが、

なんとなくですが、
このご時世です。

心理的な要因もあるようにも思えます。

うちは精神科や心療内科ではないので、
もっぱら、対症療法?に徹したり、
クリーニングや雑談でリラックスしていただけるように心がけるしかありません。

今日はその対症療法の1つ、噛み締めで破折してしまった歯の修復術です。

右上の4番が痛い、という主訴で来院されたのが、去年の夏頃。

なんと僕の高校時代の同級生。
なつかしいね、すぐ分かりました。
昨日のことも覚えていないのに、
数十年前のことは鮮明に憶えています^^;

で、右上の4番。
大きくクラックが入っています。
IMG_9247-2.JPG

歯髄症状が出ているし、抜歯・再植の選択肢が一番かなと思いましたが、
そこまでは納得できないような感じにも見えましたので、
とりあえず、タガをはめてこれ以上割れないようにして経過観察しました。
IMG_1900-2.JPG
IMG_1901-2.JPG

秋口になると熱い物が沁みるという症状は治まったが、
歯茎が腫れてきた、ということで、
抜歯・再植をすると言う方向で話がまとまりました。

今日は同級生(歯医者の)が見ているというので、
技術的なノウハウもちょっとだけ書きます。

前回作製したタガを除去する。
IMG_6347-16.JPG

抜歯、歯根膜を極力傷つけないように、ゆっくりと。
これが最初の関門です。
抜歯時に歯根がバラバラになることありますが、
3Dパズル風に組み立てることもできます。
でも超~器用でないと無理。
IMG_6357-16.JPG
IMG_6357-16.JPG
クラックに沿って膿瘍を形成している。
これが大きくなると歯槽骨が吸収されるので、予後は不良となりやすいが、
早期だと抜歯は難しくなる。
抜歯には、ちょうど良い時期がある。

膿瘍を除去したところ。
クラックは根尖付近まで達していますが、
完全には離断していません。
IMG_6359-16.JPG
IMG_6358-16.JPG

こじり割りました。
IMG_6362-16.JPG
生活歯だったので、きれいです。
生理的食塩水(注射用)には抗生物質を添加しておきます(セ○ゾン、ク○ビッ○を乳鉢でつぶしたもの、お金があれば注射液)。

歯髄を除去して、
接着ハガレを起こし難いようにアンダーカットを付与、
あらゆる方向の応力に抵抗するようにアンダーカットを形成します。
IMG_6366-16.JPG
IMG_6364-16.JPG
IMG_6365-16.JPG

エッチングは象牙質とエナメル質別々に。
IMG_6369-16.JPG
組み立て準備完了。
IMG_6370-16.JPG

スー○ーボ○ド液/キャタリスト:6/1で筆積み法で一気に接着します。
はみ出た部分はエキスカ等で歯根膜の損傷を最小限に考えて除去。
あえて除去しないこともあり得る。
臨機応変の対応。
とにかく接着面に隙間がないように細心の注意を払います。
この段階が一番難しい、正確性とスピードが要求される。
指でつまむ位なら歯根膜は損傷はしないので安心して作業してください。
IMG_6376-16.JPG
根尖孔も塞ぐ。
IMG_6378-16.JPG
IMG_6373-16.JPG
IMG_6372-16.JPG
終われば生食水中で10分間硬化待ち。

両隣接面にはやはりスー○ーボ○ドで接着固定するので、
抜歯前にリン酸でエッチング処理をしておく。
IMG_6375-16.JPG

再植は、あふれてくる血液をガーゼで拭きながら一気に。
麻酔は切れかけでも痛みは強くない。
IMG_6379-16.JPG

接着固定。
IMG_6381-16.JPG

歯根膜が生着するまでに上皮が迷入しないように、デュ○シー○で傷口を覆う。
4日後のSP時に除去することが多い。
抗生物質は4日分投与。痛み止めと抗生物質の1回目は術直後投与。
IMG_6385-16.JPG

術後2週間は固定が外れないようにした方がよい。
術後1ヶ月で補綴治療も可能となります。
単独よりも隣在歯と連結した方が長持ちすると思いますが、
ケースバイケースですね。

今回は右上5番にもクラックが入っていたので、
連結固定しました。
IMG_1900-2.JPG
IMG_8405-2.JPG

最後はナイトガードの作製、
寝ている時にクイシバリをしているらしいので
その対策です。

なぜ割れたのか?
その対策もしないと、また割れる可能性が高いですよね。

その後の長期管理は接着部分は深い歯周ポケットがあるのと同じ対応をします。

 - 削らない・抜かない歯科治療, 今日の抜歯再植術シリーズ