今日の充填治療その36

CR充填後13年経過症例です。
うちが予防歯科に転向する1年程前、
体力的な問題でメタルインレーを止めてCR充填方法を模索していたころの症例です。
元はメタルインレーが装着されていました。
13年経過し、CRがチッピングして2次カリエスができました。
というより、接着が剥がれて>2次カリエス>チッピングしたという流れです。
CRを除去するとα-TCPセメントがライニングされています。
このセメントは歯質と略同じ成分の生体材料ですが、
象牙質よりは構造的な問題で?実質イオン化傾向(造語)は高いと思われ、
すでにボロボロになっています。
まあ、α-TCPは象牙質より先に溶けるので、虫歯の進行を遅らせる効果があると言ってもよいと思われます。
セメントを剥がすと、象牙質は溶解(軟化象牙質化)していません。
触っても痛みはありません。
新しくα-TCPセメントでライニングして、
再CR充填しました。
CR充填はメタルインレーとは違い、接着が剥がれるとチッピングするので、患者が気づいてすぐ来てくれる。
しかし、メタルインレーは接着がゆるんでも簡単にはダツリしないので、見た目は30年以上保っていても、
患者も気が付かず虫歯が進行してしまう可能性もある。
このことをどう評価するかですね。
うちでやっているCR充填は2級インレーの再治療など、従来はCR充填処置の対象外といわれていたものも多いが
平均10年は保つように思われるので、歯質切削量が少ないことは当然としても、
省エネ・省資源・低コスト化を考えれば、
虫歯の充填治療はCR充填の一択のように思っています。
日本でのメタルインレーの保険点数は異常に安く(CR充填もだけど)、
歯科技工士へのしわ寄せによってなりたっているという搾取構造が存在しているのだが、
それで日本からは歯科技工士はいなくなりつつあります。
まことに目出たい。。
メタルインレーがよいとか言っている歯科医師の先生は自分で技工してみるといいと思います。
ああ、メタルインレーはオワコンだな。。と思うはずです。
それどころか、「虫歯の電気化学説」による虫歯予防が進めばCR充填すら要らなくなるでしょう。