歯科医院長mabo400のブログ

I歯科医院の高楊枝通信。

歯髄壊死(歯髄梗塞?) (6)

2017/03/20
 
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40代女性、左上6

数日前からなんとなく違和感があり、
2日前突然痛くなって、激痛、、
痛み止めもあまり効かない。
暖かいもので痛むので、食べ物は冷たくしないと食べられない。

ハイブリッド・インレーが入っています。
この材料はメタルに比べると強度が低くたわみ易いので、
接着はがれで2次カリエスになるケースはよくありますが、
事前の冷水痛の症状がなく、突然歯髄が壊死して痛むケースは多くはない。

この方は、噛み締めの習癖があり、
反対側の7番は歯根破折して、抜歯再植している。

この歯も咬合性の外傷により歯髄壊死に陥ったことが疑われる。

歯髄壊死は虫歯から歯髄に細菌感染して起こることもが、
虫歯がない場合、
歯周ポケットから歯根の尖端の神経血管の通る穴から上行性に細菌感染して起こるとされているが、
それを経験したことはない。

上行性なら冠部歯髄は生きていて、根部歯髄が壊死しているはずだが、
それは見たことがない。
必ず冠部歯髄が壊死していて、歯根尖端部は生きている。

ということは、上行性の感染ではなくて、
外傷により、歯根尖端付近の血管が損傷し、血栓を生じ、
それが歯牙の抹消である冠部歯髄の血管に詰まって壊死を起こすのではないだろうか。

「歯髄梗塞」とでも言った方がよいのではないかと思う。

ということで、画像を見てください。
多少マージン部にチッピングがあるが、2次カリエスにはなっていない。
IMG_9371-1.JPG

見える範囲には虫歯はない。
IMG_9373-2.JPG

さらに歯質を削除すると冠部歯髄腔に達するが出血はあまりしない。
切削時の痛みもなく、冠部歯髄は溶解している。
壊疽臭はしない。
IMG_9374-3.JPG

根部歯髄が見え、若干出血するが接触痛は弱い。
IMG_9375-4.JPG

根部歯髄の活性は低いが、リーマーを根管に挿入すると痛みがあるので、
歯髄はまだ部分的に生きている。
止血確認後、α-TCPに抗菌剤を添加して充填して経過観察。
次回CR充填か、痛みが続けば感染根冠処置予定。
IMG_9380-5.JPG
IMG_9383-6.JPG

このように外傷性咬合がある場合、
歯牙を始め口腔関連組織に様々な障害を発症させるので、
予防歯科を始めて、通常の歯科治療をしなくなると途端に症例が増すように感じる。
通常の歯科治療に忙殺されていると気が付かずに通り過ぎているだけだと思うのだが。

外傷性咬合がある場合、その人の弱い部分に障害が出る。

歯牙が弱ければ(こういう言い方が適切かどうかは分からないが)、
神経症状としては知覚過敏症から歯髄壊死まで、
歯冠や歯根の破折も頻繁に起こる。

歯根膜が弱ければ、歯根膜炎から歯周病の悪化まで。

顎関節が弱ければ、顎関節症のかなりの部分までその原因の1つになる。

外傷性咬合自体の原因は今のところ不明だし、
歯医者の分野だとも思えないが、心療内科や精神科に行ってもどうにもならないだろうし、
歯科で診るしかないのではないだろうか?

とは言え、1つの疾患の分野として認知されているとは言いがたい(最近は少しずつ認知されて来ているように思うが)
ので、尻のもって行きようがない(治療費の請求ができないのが困る)。

なんとか体系的な研究をしてもらいたいものです。
歯科大学、歯学部の仕事だと思うが、どうだろうか?

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