今日の充填治療その42

メタルインレーの2次カリエスの症例です。
右上6、30代女性。
虫歯の電気化学説によれば、
その原因には大きく2つの要素がある。
1つは、通気差腐蝕といわれる現象で、
酸素濃度勾配があると酸素濃度が低いところの金属から電子が奪われ、
金属イオンとなって溶出するというものだ。
虫歯も酸素が少ない、修復物と歯牙の隙間や頬に覆われたところ、
同じ歯でも近心よりも遠心(奥の方)、
プラークに覆われたところが虫歯になり易い。
2つ目は、イオン化傾向の違いによるガルバニック腐蝕。
電子が奪われた方が腐蝕する。
口腔内でのイオン化傾向は、
亜鉛>象牙質>エナメル質>銀合金>金合金(金パラ含む)
となっているので、
象牙質は歯科用金属と接触していると象牙質の方が溶ける。
また象牙質とエナメル質は接触しているので、
歯根(象牙質)が露出すると象牙質の方が虫歯になる。
メタルインレーで虫歯になりやすい所は決まっている。
この部分は咬合力でたわみやすく、隙間が出来やすい。
さらに隙間に細菌が入ると酸性環境になりやすく、
象牙質とメタルはバッテリーの陰極と陽極の関係になり、
象牙質が溶ける。
もちろん隙間内部は酸素が少ないので、通気差腐蝕が起こるのは当然だ。
・・メタルインレーを分割して除去しようとしたが、
全部除去できなかった。
セメントがグラスアイオノマーらしく、よく接着しているので、
歯牙に傷が付くことを恐れ、無理に除去するのは止めてCR充填した。
とりあえずメタルプライマーは使っている。
今回は咬合面観だけではなく、近心からも撮影してみた。
既製のストリップスをウエッジで
歯肉縁下のフィニッシングラインに押さえながらCRを流して光硬化させ付形している。
手順に関してはコメントを省略しますので、過去ログをご参照ください。