今日の充填治療344(中級編)

   

40代女性、右下5、象牙エナメル境界(DEJ)カリエス、自覚症状なし

10年前のレントゲン写真ではまだできていないが、

2007/11/19

今年のレントゲン写真ではかなり大きなカリエス(虫歯)になっている。

2017/04/26

この部分にカリエスがなぜ出来やすいのかは現代歯科医学では説明できない。
そもそもカリエスの発症機序についてはその発症原因すら不明のままで、

「歯が酸に溶けたものが虫歯です」と歯医者ですら言っているが、

実際にpH3(炭酸飲料)程度の酸に1月程浸けても溶けて無くなったりしない。

若干表面がやわらかくなったような気もするが、その程度だ。
ダイアグノデントで計測しても象牙質が30を超えて50以上になることはない。

こんな初歩的な実験をやってみた歯医者は少ないと思われ、歯学部でもそういう実験はしない。
やったら、学説?に対する矛盾が噴出し、学生は実験レポートを書くことができず、教員は単位を認めることすらできない事態になるからだと思われる。

しかし、ここで提唱している「虫歯の電気化学説」では簡単に説明することができる。

DEJにできる虫歯は象牙質とエナメル質のイオン化傾向がD>Eだから、Dが選択的に溶けると説明でき、
隣接歯の歯科用金属(M)とのイオン化傾向を比べると、D>>Mだからだ。

1つの歯でも近心(手前側)より遠心(奥の方)に出来やすいのは、
遠心の方が酸素濃度が低く、通気差腐食が起こるからだと説明できる。

このように虫歯はある部分とある部分の間に局部電池が形成され、
陰極になった方が溶けると考えると虫歯の発症原因も機序も簡単に説明がつく。

術前の画像ではエナメル質を通して象牙質の虫歯部分が黒っぽく透けて見える。

エナメル質に穴を開けてみると、内部の虫歯が見える。
ここで虫歯になっているのは象牙質だけでエナメル質は全く溶けていないことに注目してください。

酸に溶けるのなら象牙質だけではなくエナメル質も多少は溶けると考えるのが正常な科学的思考方法です。

マージン付近だけ虫歯を除去して、ボンディング材の効きを良くするために新鮮歯質を確保すれば良い。
ここまで全く無麻酔下で処置している。
虫歯は削っても痛みを感じない。痛みが出たらそれ以上削る必要性はないということだ。
麻酔は、健全な歯質を削るためにすることであり、最小限の介入を目指すこれからの歯科治療には不向きな処置だと思う。

α-TCPセメントで覆とうする。
このセメントは強アルカリ性で静菌効果があり、歯質と同じ成分で虫歯の再硬化に有効で、もし辺縁漏洩が起こっても歯の代わりに溶けてくれるので長期安定性が良い。

CR充填後、
長期的に漏洩が最も少ない修復方法は今の所、慎重に吟味されたCR充填だけだ。

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