今日も野戦病院シリーズ24

   

80代男性、左上7、歯冠崩壊、自覚症状なし

今日も診療室は野戦病院化していて、既存の歯科医学では対応できない患者にあふれていた。

この方、認知症が進んでいて、咬合力の調整ができないように見える。
何度も噛み割っていて、補強冠を入れたが、その内側のCR充填も破折した。

10年以上前に、左上の3番が先天欠損していて、犬歯誘導がないので、無理やりダミーを接着して入れて、左側臼歯部の咬合力による歯冠崩壊は収まったが、
認知が進むにつれ、ダミーのダツリと同時に7番の歯冠が割れた。

CRと軟化象牙質を除去すると、
冠部歯髄は完全に失われていて髄床底をなぞることができる。
根部歯髄が生きているかどうかも判らないが2次象牙質で蓋をされているようにも見える。
従来の歯科医学ではどう対処してよいか判らないと思う。

経験的にはこれ以上いじっても、よいことはないので、
細菌感染する前にα-TCPセメントで覆い、

CR充填した。
細菌感染は近年多剤耐性菌の増加と共に抗生物質に頼ることができなくなりつつあり、厳しい現実に直面することがある。
虫歯をこじらせて死亡するということも十分考えられる時代に突入しつつあると感じている。
細菌感染を防ぐには簡潔な処置を心がけ、
もたもたせず、
感染させる前に辺縁封鎖性のよいCR充填でその場で終わるのが一番よい。

次は犬歯誘導が機能するようなリジッドな3番の欠損ブリッジは保険対象外なので、
どうするか?が問題。
取り外し式の義歯は認知が進んだ方には取り扱いが難しいでしょう。
現代歯科医学は若い人向けの歯科医学であり、
高齢化時代に噴出する様々な問題には対応が困難だというのが現実だ。
でも、どうにかするしかない。

つづくかもw

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