今日の抜歯再植術シリーズ60.06

   

40代女性、右上7、歯牙破折、咬合痛+

前回の続きで、
http://mabo400dc.com/dental-treatment/post-20712/

いよいよ最終段階、抜歯窩に組み立てた歯牙を再植する工程ですが。
工程と書くとなんだか、モノを作っているような感じですが、
まあ、自分の中ではそんな感じでやっています。

うちでやっているのは歯牙再植というやつで、抜いたところに抜いた歯をもう一度植え込むというものです。

歯牙移植というのもあるのですが、
これは抜いた歯を別の歯を抜いたところに移植するわけで、
自家移植と言われています。

心臓移植などは他家移植で他人の臓器を他人に移植するので、
当然免疫抑制剤が必要になるわけで、
さすがに歯ごときでそこまでする人はいないでしょう。

この歯牙移植をしている患者さんのフォローアップ(尻拭いw)をすることがあるのですが、
ま、はっきり言って成功例の方が少ない印象です。

ネットで歯牙移植と検索すると、ふつうに上手くいく、親知らずの移植は保険診療でも認められている、ごく一般的に言って、成功率が高い術式なんだという印象を抱きますが、

上手くいっている症例というのは1/10位しかないのでは?と感じています。

それに比すると、抜歯再植は失敗する方が少ないというか、失敗したことがないのです。(今の所ですが)

一番の理由は抜歯窩(ソケット)の形が抜歯歯牙とぴったり一致するから(それは当たり前ですね)だと考えています。

抜歯歯牙を抜歯窩に挿入します。
元に戻すだけですから、特にアンダーカットがなければ難しくありません。
大臼歯は歯根が開いていますので、組み立てた後で、抜歯窩に挿入できないケースもありますが、その時は分割します。

隣在歯と接着固定するのですが、

なんとなく咬合が緊密というか、再破折しそうなイヤな予感がしますので、
あまり当たらない程度にバイトダウンしました。

そもそも歯が割れるなんてことはふつうでは有り得ないことで、
本人にも自覚できない、とても強い咬合力が働いているとしか考えられないわけです。

噛んで痛みを感じると反射的に噛む力を緩めたり、口を開けたりするのですが、
その神経反射経路が壊れているのです。
「咬筋・歯根膜反射」とよばれているのですが、
それが失調していると解釈されています、

自分の歯を噛み割るんですから!

この方も歯牙破折するずっと以前に別の問題が発生していました。
隣接面カリエスと歯周病の進行です。

外傷性の虫歯は成人の虫歯の大きな成因の一つです。
咬合性外傷は歯周病における歯周組織の共同破壊因子と言われています。

前兆現象の後、とうとう歯牙破折に至るのです。

上皮の迷入を防ぐため、また細菌感染を防ぐために包帯し、投薬して終わりました。

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