今日の充填治療349.01(外傷性カリエスの電気化学的解釈)

   

11歳男子、左下6、外傷性の隣接面カリエス

外傷性のカリエスというのは過大な咬合力により歯質にクラック(ヒビ)が入り、
イオンレベルの物質が通り抜けることができる隙間ができることにより起こる。

カリエス(虫歯)というものは細菌感染症ではなく、HP(ハイドロキシアパタイト:歯質)の電気化学的な腐食現象であることは、酸性水溶液中で歯質のイオン化傾向を測ることができる事実から演繹できる。

よって、カリエスの成立条件は
1、酸性水溶液中に歯質が存在すること
2、歯質間または他の金属等の対電極との間になんらかの電位差が生じること

この2つです。

細菌存在の有無はかならずしも必要ないが、上記の条件のどちらか一方、または両方に関わることは容易に考えられる。
容易に考えられるとは言っても、歯医者には無理で、電気・電子・化学系の研究者や手練の技術者でないと無理かもしれない。
僕は歯医者になるずっと以前から自作オーディオを趣味にしていたので、考えられるのかもしれません。

・・前回の画像は小さかったので、判りにくいかと思い拡大してみたので、
少し解説を試みてみます。

一般の読者には解りにくい表現もあると思いますが、キーワードを検索して理解を進めてください。これから本業の仕事もありますので、全部は無理です。

この画像は処置前で、

クラック部分を拡大したものが、これです。
クラックに沿って、しかも隣在歯(今はないが左下E)との接触点にカリエスができているのが分かると思う。
クラックが2つの歯の接触点にできる原因は、過大な咬合力により2つの歯が強く押されることによりできるといわれています。

ここからが今日の話の本題ですが、
この2つの歯の接触点に虫歯の起点があることはこの部分が電気的な接触点にもなっていることを示唆しています。

「通気差腐食」で画像検索すると、このような図が真っ先にでてきますが、
この図で+電極からー電極に流れる電流(歯質の場合はH+)が、2つの歯の接触点に流れていると言うことです。

たとえば、電子関連の技術者には常識なのですが、
VRの可動接点に直流電流を流す場合、可動接点側を+にしないと中長期的には電気的腐食によって接触不良を招くという現象があって、これが隣接面カリエスのメカニズムと関係があるのではないかと思います。

詳細な解析はまだできていないので、この分野での研究が望まれますね。

つづく

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