今日の2次カリエスシリーズ84.01

      2017/06/25

70代男性、左上7、メタルインレー2次カリエス、自発痛ー

前回のつづきです。

http://mabo400dc.com/dental-treatment/post-20954/

メタルインレーを外してみると、内面は真っ黒クロスケになっていて、
ふつうの歯医者さんはこれをなんというかというと、
金属の酸化物だという人が多いと思う。例えば酸化銀とかだ。
他に塩化物や硫化物という人もいると思う。
ここには、無機的な化学反応により生成されたものだというニュアンスが強く、有機的な生成物というニュアンスはない。

ところが電気化学的な金属腐食の分野では古くから金属の腐食に嫌気性の硫酸塩還元細菌が関係することが知られている。
硫酸塩還元細菌の最終産物は硫化鉄(FeS)で、ドブの底の黒色の物質のことだ。
口腔内ではSは唾液中のタンパク質由来、Feは血液のヘモグロビン由来だ。
要するに口腔内とドブの底は繋がっている。

メタルインレーを外したときに目に沁みるというか、硫化水素系のいわゆる虫歯臭というかドブ臭がすることがあるが、これも同じ細菌の代謝産物だ。

この硫酸塩還元細菌は代謝過程で電子を必要とするので、周囲の金属から電子を奪い、その金属を腐食させる。
Fe→Fe2-+2e-

歯の腐食(虫歯)の場合は電子を奪うというよりはH+(プロトン、水素イオン、酸)が歯を通り抜けることにより起こるので、
Ca+2H-→Ca2-+H2
直接には関係ない。
実験的には電子を奪うのとH+を供給するのは同じことなので、局部電池が形成されるのか、歯質は溶けるようだ。

逆に、FeSの存在は虫歯の進行を阻害する。
なぜなら電子(e-)やH+の伝導を阻害するからだ。
一種の電気的なバリヤーになっている。
サビを防ぐためにペンキを塗るでしょう?あれと同じ効果ということです。

硫酸塩還元細菌が優勢な嫌気的な環境というものが、どの程度のものなのかは実則してはいないが、経験的には50ミクロン以下10ミクロン以上の隙間があればよい。10μ(ミクロン)以下だと隙間腐食は起こるが、そもそも細菌は繁殖できない。この辺りのことも全く知られていない。

50μ以上だと好気性の酸産生菌が優勢になり虫歯が急速に進む。
100μ以上の隙間だとかなりヤバイ。

この事実は広くみることができ、セット後5年以上経ったほとんど全てのメタル修復物の内部はFeSで黒くなっている。部分的にしろ、全面的にしろだ。この部分はセメントがダツリしているわけだが、意外に虫歯になっていない。

この現象をふつうの歯医者は説明できない。

アマルガムはそもそもセメントを使わないがそれでも虫歯にならない理由がこれなのだが、歯医者は不思議だよね。。と思うばかりだ。

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