今日の2次カリエスシリーズ84.05

70代男性、右上7、メタルインレー2次カリエス、自発痛ー
前回のつづきです。
http://mabo400dc.com/dental-treatment/post-20997/
このような難易度の高いCR充填はどこが難易度が高いのか、
画像を見ているだけでは判らないと思います。
左腕は処置中の1時間前後の間、力が入りっぱなしです。
口が閉じないように、
ほっぺや舌が切削器具に当たらないように、
唾液が処置部分にかからないように、
デンタルミラーと吸引チップを保持して
全力で術野を確保しています。
右腕は切削中は全力で器具を固定して、指先だけ微妙に動かして切削します。
歯肉に当たって出血させないように、
軟化象牙質を残さないように、
露髄させないように、
全力を出しながら繊細な動きも同時にしないといけないので、
疲れます。
このF1レーサーのように全力でアクセルを踏みっぱなしにして、
微妙なブレーキングとハンドル操作を同時にするようなものです。
この20年来僕の腕はボロボロで痛み止めを塗りながらの作業になっていて、
これ以上すると身障者になりそうで、厳しいです。
遠くからCR充填だけご希望で来院される方も多いのですが、
身体的に無制限に受け入れることはできませんので、
自費治療でお願いしております。
元々CR充填というものは前歯部の隣接面と臼歯部の咬合面だけの適応で、
臼歯部の隣接面を含むCR充填治療は保存修復学的には適応外なのです。
このような症例は通常、CR充填の適応外ということです。
だからわざわざ難しい処置をしてみようという歯医者が少ない理由の一つでもあるのです。
単に神経を取って冠を被せた方が儲かるという経済的な理由だけではないのです。
保険診療的には、したければしてください。
その代わり、10分程度で終わる容易な前歯部のCR充填と同じ点数しかありませんよ。
ということです。
・・・最後臼歯の遠心の歯肉縁下のCR充填は隔壁(ストリップス)は使わない方がうまくいきます。ミラーテクニックでのフロアラブル系レジンの直接築成法です。