今日の抜歯再植術シリーズ59.06

   

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40代女性、左上6、のつづき

地域で一番人気の歯医者さんになろうと思えば、
他所で抜歯と言われた歯を抜かずに保存することが一番患者さんにアッピールする。
歯を抜くとすべての不快症状が無くなるのは事実だが、
あまりにも簡単に保存を諦める歯医者が多いのも事実だ。

意地でも歯を抜かないとなると、テーブルサージャリー(テーブルの上に臓器を取り出し外科手術をすることで、臓器が体内にあって、自由に患部にアクセスできないという制約がない)である抜歯再植術というのはメリットが大きい。
しかも歯牙移植よりはるかに予後が良いともなればやってみない手はないだろう。

抜歯再植の適応症は歯根破折、穿孔、難治性Per、歯根嚢胞などと広いが、
なんといっても歯根破折の場合が多い。

歯根破折というのは自分自身の歯を自分自身の咬合力で噛み割るということですから、
尋常な話ではなく、かなり病的な因子がその下地にはある。

通常は過大な咬合力がかかった場合、咬筋・歯根膜反射という無意識下での反射運動により歯が壊れる程の咬合力が歯にかからないように自動制御されている。
それが十分に機能していないということだが、患者本人はそれを意識することができないようだ。
「歯噛みして悔しがる」という言葉があるが、その時は反射運動は働いていないと思われる。

このような抜歯再植のケースの場合も、反射運動の不具合という根本的な問題が解消されていない限り、再破折ということは十分に考えられるので、意識的に咬合力をコントロールしたり、ナイトガード等で就眠時の無意識下での過大な噛み締め等による咬合力を緩和する対策が必要となる。

あらかじめ遠心の7番を接着固定できるように冠を交換しておき(うちではパラジウムやゴールド冠、セラミックス冠は被接着力が弱いので接着力の出る銀合金を使っている。虫歯になりやすさもパラやゴールドより30%低い実験結果がある)、
連結固定により過大な咬合力に対する防護対策をする必要性はある。
単冠で修復して終わり、というのはあまりにも現実を甘く見すぎだ。

咬合高径が低いということもあるので、ピンレッジを使う。
また連結固定のための多連のkey&keywayを施している。

CKセット。うちでは盛り上げにより咬合調整が必要になった場合にそなえ、金属冠やセラミックス冠は採用しないケースが多い。ハイブリッド等のレジン系の素材はセット後に盛り足しができるという大きなメリットがある。
歯科治療というのものはその場限りの修復で終わりというわけではなく、
過去の治療歴を探り、今後の変化を予測し、その変化に柔軟に対応できるよう常に考えることが必要だ。

おわり

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