今日の抜歯再植術シリーズ62.1

   

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前回のつづきです。

こういった症例の保存治療を諦める歯医者さんが多い原因の1つに、術後のメンテナンスの仕組みを持っていないというお話はしましたが、

2つ目は歯冠修復が分業体制になっているということがあります。
要するに診療室の歯科医師と技工室の歯科技工士の仕事が分かれていることなのですが、お互いにお互いのことが解らない。
ほとんど分断されていると言っても過言ではないのです。
歯医者は型取りが終わったら、後は技工士に丸投げ。そういう状況なのです。

歯科医師と歯科技工士の受け渡しのインターフェイスの仕様は決まっていて、
お互い何をしているのかは知らなくても、仕事はできるのですが、
この部分にこういった普通ではない症例には対処できない理由があるのです。

歯科治療の体系の原型は少なくとも18世紀に遡ることができて、その時代の当たり前が未だに引きずられているということです。
その時代の当たり前というのはその時代に手に入る材料・技術の限界に規制されていたわけですが、現代の歯科医師も歯科技工士もその時代の材料・技術をそのまま使った修復技術体系を受け継いでいます。材料が多少変わっても、その本質は変わらないというより、変えられないのです。

変えようと思うと多大なエネルギーを消耗する。忙しい歯医者も技工士も対応できない。
作業が分断されていて、インターフェイスの仕様が決められている限り、現代の材料・技術を最適化することができないということです。

もっと柔軟な発想ができれば歯科業界のレベルはもっともっと上がるのですが、できない理由が分業化にあるのです。

この壁を乗り越えるのは並大抵ではないのです。
今存在しているあらゆる歯科医療体系があっさり不用になる可能性だってあるわけですから。

・・近心根は骨植も問題なさそうだったので遠心根のみ抜歯再植することにして歯根分割しました。

例えばこの歯根分割に歯医者の皆さんは抵抗があるのです。
分割すると2つの別々の歯になって別々に歯を作って対応しなければならなくなるとかです。1つのままでは歯根分岐部の清掃の問題はどうするの?とか、2つの歯にするにしても分業インターフェイスを考えるとコアも小さくなるし、技工操作を含む全ての修復操作が難しくなる(コストもアップする)など、問題が山積しているのが見え、めんどうなので抜歯しましょうとなるのです。

近心根は抜歯せずそのまま使います。現在のCRのボンディング技術を使えば歯根破折の原因になるポストは不用なのですが、これも18世紀の発想がそのまま続いている部分です。
歯根面にアンダーカットやディンプルを形成するだけで十分な接着強度が得られます。
歯根面にディンプルを形成できないようなもっと劣悪なケースでも意外に大丈夫です。症例はそのうちアップ予定。

CRを歯根面に球形に築成します。これも常識外ですが18世紀の発想はそろそろ卒業するべきでしょう。

遠心根は抜歯しました。

使える部分は黒くなっていない部分ですので少ないですが、
まだまだ諦めませんw

つづく

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