歯科医院長mabo400のブログ

I歯科医院の高楊枝通信。

今日の2次カリエスシリーズ4 (6)

2017/02/26
 
この記事を書いている人 - WRITER -

金属腐食や電池やメッキなど電気化学の応用分野では周知の事実ですが、
酸性(電解質)環境下では酸素の少ない所から酸素が多いところへ電子が運ばれ、
電子を奪われた相対的に酸素濃度が低いところが溶解するという現象があって、

これを「酸素濃淡電池」、「通気差電池」、「通気差腐食」、「隙間腐食」などといいます。

電子を奪われるところをアノードといい、電子が消費されるところ(酸素が多いところ)をカソードといいますが、
アノードが溶けます。
アノードになる=虫歯になるところは、1つの歯でも酸素が相対的に少ないところです。

つまり口腔内の歯の場合、酸素が少ないところとは、奥の方やほっぺに隠れているところということになります。

歯科医学では、こういう虫歯になりやすいところは、歯ブラシが届かないとか、唾液が届き難いからと説明していますが、ほんとうでしょうか?よく考えてみてください。関係ないと思います。
唾液がかかるところでも虫歯にならないことはないし、はみがきが上手でも虫歯になりますよね?
はみがきがへたでも、磨いていなくても虫歯にならないこともある。

今日の症例は、

50代女性、左下7遠心頬側2次カリエス。

クラウンを除去すると、頬側のクラウンのマージンに沿って歯質が溶けている。
クラウン内部のセメントは利いていない、ダツリしている。マージン付近には黒色物質(FeS)の付着が認められる。
クラウンと歯質との間には隙間があるが隙間内部よりはクラウンマージン付近に帯状に虫歯が集中している。

これは通気差腐食の他に異種金属接触腐食のメカニズムが考えられる。
つまりイオン化傾向が高い方がアノードになり溶解するということだ。
歯質と歯科用金属冠では、歯質の方がイオン化傾向が高い。

つまりこういうことだ、
セメントが溶解しているクラウンをカソード(正極)、遠心頬側歯質をアノード(負極)にして、
細菌が出す酸由来の酸性電解質溶液を介して腐食電池を形成している。クラウン内面の黒色物質は歯質とクラウンが電気的にショートしないための絶縁体と考えられる。
もしショートしていれば、クラウンマージン付近ではなく、もっとクラウン内部の歯質が溶けるはずだ。
頻度は少ないが、そういうケースも見ることがある。

もし、虫歯が腐食電池の形成によるものなら、虫歯を防ぐとは、その構成要素つまり、正極、負極、酸性電解質溶液のどれか一つでも無くせばよいということになる。負極は歯質なので無くせないが、正極は無くせる、金属冠を止めればよい。

そして、酸性電解質溶液を無くすとは、アルカリで中和すればよいことになる。
それが「重曹うがい」だ。

こんな簡単なことになぜ気が付かなかったのだろう。

IMG_0001-1.JPG
IMG_0004-2.JPG
IMG_0011-3.JPG
IMG_0008-4.JPG
IMG_0009-5.JPG

この記事を書いている人 - WRITER -

- Comments -

メールアドレスが公開されることはありません。

Copyright© I歯科医院の高楊枝通信。 , 2012 All Rights Reserved.