今日の充填治療374(中級編)

      2017/10/29

20代女性、右下6、咬合面カリエス、時々痛い

Xrayでは、咬合面の穴は小さいにもかかわらず、より深部の象牙質だけが溶けてしまっている。
「虫歯の電気化学説」では異種金属腐食と酸素濃度差腐食の典型例だと思われる。

虫歯の従来説では虫歯の深部には虫歯菌が生息し、多量の酸を出すことにより象牙質が溶けるとされているが、実態は違う。
虫歯内部には意外に虫歯菌は少ない。虫歯内部の虫歯を位相差顕微鏡で観察してみると、細菌はパラパラとしかいない。騙されたという思いに愕然とする。

時々痛いというだけで、従来の歯科医学では不可逆性の歯髄炎なので神経を取るしかないという診断になるのだが、実はそうではない。
虫歯の穴を水硬性セメントで塞ぐだけで瞬時に痛みの症状は消える。
多くの歯科医師は臨床的には経験するのだが、その理由はよく解らないままだろうと思う。

虫歯が細菌感染症ではないという立場からいうと、セメントにより電気伝導を遮断したからだと説明できるのだが、従来説では説明がつかないので完全スルーせざるを得ない。

エナメル質だけが薄く残っているだけなので、極力壊さないように細心の注意を払って、新鮮歯質を確保することに努める。

外部から見ると十分に歯質はあるように見えるが、

そうではない。内部の象牙質は広範囲に失われていいる。

接着マージン付近だけは新鮮歯質を確保する。

歯髄側の軟化象牙質は除去する必要はない。
α-TCPセメントにより再硬化するからだ。

CR充填後。見かけは回復されているように見えるかもしれませんが、実力は高くはない。病的に強い咬合力には耐えられないが、外傷性咬合がなければ長く持つ。

ここで供覧しているCR充填は通常の歯科治療では諸般の事情で提供が困難なものが多いと思ってください。
一番の問題は技術的な問題はさることながら、時間がかかりすぎて経済的にペイしないことです。
歯科医院を維持していくには1時間当たり2万円の売り上げが最低必要なのです。

 - 今日の充填治療シリーズ, 削らない・抜かない歯科治療