歯科医院長mabo400のブログ

今日の充填治療その98

2017/03/20
 
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50代女性、左上6番、インレーダツリ。時々自発痛+。
この方は、咬合に起因すると思われる不定愁訴があり、ナイトガードを使用している。
不定愁訴の原因になりうる調整不良と思われるインレーが複数あったが、
咬合調整に対する患者の心理的な問題もあり、調整に踏み切れていなかった。
そこでナイトガードで咬合接触を遮断していたのだ。
ここでの心理的な問題とは、患者の性質と言ってもよく、
例えば「はい、トントンかるく当てて。。」という問いかけに素直に反応できない。
咬合紙を咬んだまま、グリグリと早期接触と思われる自分が気になる場所を探すので、
咬合面がカーボンインクだらけになって、
肝心な早期接触を見つけることができない。
しかも、ここが当たる、あそこも気になる、、と一々口を出すので、始末に負えない。
要するに、咬み合わせがおかしくて具合が悪ければ、口を軽く開けておくだけ、
上下の歯を離すだけで症状は出ないのだから、それに気が付けばよいだけなのだが、
理想的な気持ちのよい咬み合わせがあるはず、とか、
「中心咬合位」と「筋バランス位」が違っていて調整の範囲を越えている人でも、
それを探してしまうのだ。
最近は歯牙接触症とかいうおかしな癖がある人がいることも認知され始めている。
残念ながら現在の歯科医療のレベルではこの辺りの診断も治療もできるとは言いがたいというのが実情だ。

頬側遠心咬頭の内斜面に2次カリエスが発生しています。
後の画像で判りますが、かなり強く当たっています。
2次カリエスになるところは不定愁訴の原因となる早期接触があるところの可能性が大きいと考え、よく診なければなりません。
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インレーのセメントは遥か昔に崩壊しているように見えるが、大きなカリエスは発生していない。
要するに好気性菌が繁殖できるような隙間がなければ、簡単にはムシ歯にはならないのではないだろうか。
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黒色物質(FeS)が付着しているセメントを剥がすと、口蓋溝と遠心溝に沿って中心付近までクラック(亀裂)が見える。
これが時々痛いという不定愁訴の原因かもしれない。別の対策を取ろうとは思うが、もし深く割れているのなら手遅れかもしれない。
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α-TCPセメントで裏装してCR充填した。
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充填後の最初の接触点(患者はなにもかんがえず、とんとんタッピングさせるのがポイント)。
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対合歯との接触関係を見ながら縦横の主溝を設定する。かならずしも解剖学的形態にこだわる必要はない。
咬頭の3次元的な形態を考えながら、側方運動に調和した傾斜角を持つ斜面を形成する。
やはり、遠心頬側咬頭の内斜面をエナメル質も含めて調整せざるを得ない。
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頬側の内斜面に2個づつの接触点が表れる。これはAコンタクトで、対合歯の咬頭が2点接触しているためだが、
遠心の接触点を消すと下顎は近心に動かすことができる、反対にすると逆になる。歯を傾斜させることもできるし、歯と歯の間の離開度を調節することもできる。通常は2点接触は外傷性に働くことが多いので、どちらか1点に絞ることが多い。通常は下顎を前方に誘導させる方がトラブルが少ないので、遠心接触点を削除する。
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側方運動させると対合歯が強く干渉するので、削合をつづけた。遠心頬側咬頭の内斜面の滑走ラインに注目。
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滑走線の起始点をどこに定めるかの判断から始まり、滑走線の長さをどの程度にするかの診断に進む。もちろんこれらは同時進行作業だ。
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これ以上のこの部位の削合は形態的におかしくなるので、対合歯を削合することにした。ちなみに対合歯はメタルクラウンだった。
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すると遠心口蓋咬頭にBCコンタクトが明瞭になり、さらに左上5番(向って右)の遠心頬側の辺縁隆線を削合すると隣在歯の接触圧も均等になり、下顎の動きもスムーズになったので、この歯に関する調整は終わった。なおこの歯の調整時に反対側平衡側の小臼歯頬側咬頭の干渉と左下8番の干渉にも気が付いたので調整した。
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