歯科医院長mabo400のブログ

今日の充填治療その101

2017/03/20
 
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60代女性、左下5、メタルインレー2次カリエス。
Bコンタクト:頬側咬頭内斜面がCRで補修したあった。
この部分に咬合的な問題があって、歯質がチッピングしたり、2次カリエスになっていたのかもしれない。
こういう部分には何か咬合上の問題があるに違いないと思って治療を進める必要がある。

メタルインレーのセメントは崩壊してるが、2次カリエスはそれほど進行していない。
黒くなっているのは、硫酸塩還元菌による硫化鉄と思われ、分極剤となるため象牙質腐食は抑制される。
この細菌は嫌気性のため、隙間が大きくなると生育環境としてはよくなく、好気性の酸産生菌が優勢となり、カリエスは進行し易くなる。
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上顎対合歯の画像、4番だけが当たっている。赤いカーボンインクでマーキングされた上下の4番の3点がきれいに当たっているのが分かると思う。典型的なcusp to fossa occlusionだ。ただし、1歯対1歯の咬合は若干下顎後退位なので、顎関節にはトラブルは起こり易い。
この症例では、5番はほとんど当たっていない。
画像ではよく分からないが、上顎5番(下図中央向って左)のAコンタクトが全部ファセットになっている、というか、
口蓋咬頭の内斜面の中心咬合面隆線が摩耗して平滑面になっている。
これは過去の咬合様式の名残を表しているが、対合歯の下顎の5番のAコンタクトにはファセットはない、
摩耗して丸くなってしまったのだと思う。
推測だが、何らかの理由(人為的理由含む)で下顎5番のBコンタクトが失われ、CR充填で補われたが足りず、下顎のAコンタクトが上顎のファセットと緊密に接触しなくなり、尖っているだけに咬耗した。上顎のファセットは平滑面なので、咬耗は進まずそのまま残った。という経過が考えられる。
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咬耗してなくなったと思われる下顎5番のAコンタクトと上顎対合歯のAコンタクトを再現するために、下顎BコンタクトにCRを追加で築成した。Bコンタクトが高くなると、Aコンタクトが当たり出す。Bコンタクトが当たると、上顎5番は内側に回転・傾斜するので、Aコンタクトが当たり出すということだ。こういう調整はしばしば行なわれるが、歯牙と言うものには歯根膜の被圧縮性の範囲、数十ミクロンの範囲でのフレキシビリティーがあることを利用している。咀嚼運動をすると、数十ミクロンの範囲で歯牙は動く、これは咬合力を緩圧する元々生体に備わった機能だが、インプラントは顎骨に固着するので、この緩圧機能はない。これがしばしば対合歯などに外傷性のトラブルを起こす原因だ。
要するに、咬合を重視する立場からは、緩圧機能のないインプラントは使えない。昔はそういうインプラントのシステムがあったが今はない(と思う)。インプラントがオセオインテグレーションばかりに気を取られるのもよいが、もう少し咬合的な生体親和性の問題も考えて欲しい。うちがインプラントをしない理由は、歯を抜かないのでインプラントが必要なくなるだけではなく、咬合の観点からはとても使えるような代物ではないと思うからだ。

また、このような歯牙の微小な動きを利用する口腔内での咬合調整は技工操作では全く再現できない。技工の作業模型上では歯牙は動かないからだ。うちが技工作業を重視しない理由はこのようなところにもある。
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