今日の咬合シリーズ11

      2017/03/20

50代男性、左上4のCR充填治療後の咬合調整。

このときのつづきです。
http://plaza.rakuten.co.jp/mabo400dc/diary/201211140000/

咬合調整と簡単に言いはしますが、できる歯医者は少ない。
というかほとんどいません。
やっていることはテケトーです。
患者が文句を言わなければそれでよい、その程度。
後で問題が出ても、自分がテケトーにやった結果とか思いもしない。

理論が解っているかとかそういうお話では全くないのです。

なぜかというと、咬合調整に必要な能力と技能は、
1)10μm以下の高さを知覚する能力があるか?道具は8μm厚のカーボン紙と五感だけ。
10μm程度の高さは患者には簡単にわかりますが、歯医者には簡単には分かりません。
患者の中には1~2μmと思われる高さの違いをがたがた言う輩がいますが、そんな厚さはバーで一舐めするだけでなくなります。

2)口腔全体の動的バランス状態を頭の中に構築できるか?慣れれば3Dで動かせるようになります。

の二点に尽きます。
2)は勉強すればどうにかなりますが、

1)はその人が生まれつき持っている知覚能力の問題と、
その能力を極限まで高めるために必要な膨大な時間を取れるか?という問題です。
まあ、金属の研磨で1μmの凹凸以内に収める技術の習得と同じですね。

そんな天性と幸運に恵まれた歯医者がどれだけいるか?ということです。

学校で教授することはもちろんできませんし、習った覚えもありません。
こういうことを書いてある本もないですね。
それは、微妙過ぎて写真に撮ることも難しいだけではなく、
理解している歯医者もほとんどいないからです。

ま、そういうことですから、咬合調整の具体例発表は世界的にも稀なことだと思います。
ここでの個別の症例報告の試みがちょっとでも上手くいくか?
というのは興味があることで、読者の反応が知りたいところです。

・・咬合に関係する口腔内全体の参考画像

この方の左側は大臼歯が欠損していて、3番が咬合に関与しています。
通常は中心咬合位では当たらないように調整しますが。
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今回は調整に当たって、どこを最初に見るのか?
対合歯の調整をどう考えるか?
というお話をします。

で、まずお口の中を覗き込んだ時、どこを見るかというと、
歯列の中で、各歯牙の豊隆の形がきれいに連なっているか?ということを見ます。

今回CR充填した歯はなんか凹んでいる?なんだろう?
・・歯が捻転していますね。

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で、咬合紙を咬ませてみると、1が充填したところ(単純に高い)、
2は歯が捻転していて強く当たり過ぎるところ、にカーボンインクが付きます。

とりあえず、1を調整するわけですが、対合歯は犬歯ですから、Cコンタクトはなくて、A,Bコンタクトだけです。そのA,Bのどちらを強く当てるかというとA(上半分)です。まあ、これは3番だからですね。

で、1は近心小窩ですから、深い溝です。
この溝を付ける専用のバーがあります。
4のオクルーザルトリミングバー8804(5は副溝用の同833A)です。
昔はヨシダ扱いでしたが、まだ探せばどこかで入手できます。
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4番の主溝用のバーで小窩を作り、1の下半分を削合しても、まだ2が当たります。
この2は天然歯のエナメル質の範囲ですが、3のバーで削合しました。
しかしまだ削合が足りません。
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で、対合歯のクラウンの唇側咬頭外斜面:2を削合しました。
これで経過観察。
咬合調整すると、下顎の動きは変わってきます。当たり過ぎるところがあるとそこを自動的に避けるような動きをするようになりますが、それを解放すると、別のところが当たり始めることもあるからです。
うちで長期管理をするということは歯周病だけではなく、咬合に関する長期管理もしています。
患者には「バランスを取り直します」としか言いませんが、しないと外傷力になりますので、歯周病の悪化、歯牙破折、顎関節症、その他不定愁訴、いろいろな原因になります。

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 - 歯科未分類, 削らない・抜かない歯科治療