「寝相」が悪いと歯並びが悪くなるシリーズ1

寝相と歯並びの関係は歯科矯正学の教科書には昔から矯正治療の禁忌症(してはいけない)の1つに「悪習癖」というのがあって、「寝相」の問題もその一つです。
というのは、歯列矯正治療ではブラケットとワイヤーを言う装置を歯列にセットして歯を動かすのですが、そのワイヤーの弾性力というのはあまり強くはなく精々150g程ですが、頭の重さは4.5kgと数十倍も重たい。
要するにワイヤーの矯正力は頭の重さにかなわないということです。
この問題は矯正治療の際に問題になるだけではなく。様々な問題を引き起こすのですが、あまり知られていません。
大方の歯医者は「寝相」が様々な口腔内のトラブルを引き起こすという問題に気がつくこともなく、その個別のトラブルの対策に追われ続けているので、それに気がつく余裕がないということです。
まあ、それもあって、僕が気がつけばここで症例をアップしてみようと思い立ちました。
そのシリーズ第一弾です。
ーーーーーーーーーーーーーーーーー
16歳女子、前歯の歯並びが気になる。
歯列矯正治療をしたい。
とのことですが、
典型的な「寝相」が原因で歯並びが悪くなったケースの1つと思われるのです。
歯列は綺麗なアーチを描くことがなく小臼歯部分が頭の重さで潰れて角ばって尖りがちです。
歯列が狭くなって前歯部の歯並びが悪くなっています。
上顎
下顎
お母さんがおっしゃるには、子供の頃から、こんな「寝相」だったそうです。
まず、仰向けで寝ることができないと矯正治療がうまくいかないか、うまくいっても矯正治療をした後の保定がうまくいかず、後戻りしてしまうことが懸念されます。