予防歯科って?0.00

   

僕たちが学生の頃は予防歯科というのは非常に曖昧なもので、その実態は歯磨き指導だったり、フッ素の応用だったり、せいぜい虫歯菌の同定やその培養ノウハウの研究程度でした。今の歯学部ではどうなのでしょうか? あまり変わっているとも思えないのですが?

僕が予防歯科を始めた時は日本の実践的予防歯科のパイオニア熊谷崇先生のセミナーや研究会に参加してそこのノウハウを導入しました。

今もその頃の画像を使って患者さんを脅かすのですが、それはこんな画像です。

上の画像はいわゆる歯科治療を繰り返しながら、どんどん歯が削られ、最後ば抜歯してブリッジになり、それもとうとうダメになって入れ歯になってしまうのだよ。また歯周病の進行を放置しているとやはり抜けてしまうのだよ。。というものです。

ま、歯周病は日頃の歯磨きや歯科医院での定期的なクリーニングで維持管理するのですが、
虫歯の方はどうなのか?虫歯にならないように、せいぜいフッ素塗布か、歯磨き指導か、食生活の指導か、そんなところです。虫歯の成因すら解明されていないのですから、それは仕方ありません。それもウソなんですが。

で、できてしまった虫歯はどうするのか?虫歯は治らないという強固な思い込みにより、世界中の歯医者は虫歯を見つけたら削って充填するしかないと思いこんでいます。それも2次カリエスになり、さらなる処置が必要になるとしたら?
まあ、保険の治療ではなく、なるべく上等・丁寧な自費の治療をお薦めしたいところですが、自費のお高い治療ならより長く持つのか?

こんなことを言うと身も蓋もないのですが、それを保証できるかというと、無理なのです。頑張って、完璧な(と思われる)治療をしてもダメな時は(多々)あります。いい加減な処置でも何十年も持つこともあるのです。
それどころか、虫歯にセメントを詰めただけで放置しても問題なかったのかもしれません。

しかし、長年の診療経験からは、この歯が治療を繰り返すことによって無くなっていく流れは間違いはないと思われます。

そして、少なくとも100年前から同じ治療行為は続けられていて、その治療過程で歯医者はサービスを患者に提供してお金をいただく、というビジネスモデルは今も変わっていません。

でも、図をよく見てみると、治療を繰り返したあげく50歳で入れ歯になるということに気がつかれると思います。これは何なのか? ほんの50年前までは人生50年でした。60歳まで生きれたらまあ良かったね、というものでした。僕の2人の祖父も50歳と64歳で亡くなっています。僕自身も50歳の時、胆石を患い激しい痛みにのたうちまわりました。現代医療システムがなければ死んでいたでしょう。

ところが今はどうでしょうか?人生80年どころか人生100年時代がそこまで来ています。僕の父も91歳で寝たきりながらまだ生きています。

で、どうですか?ほんの50年前まではこの削って被せる式の歯科治療ができなくなって抜いて入れ歯になる頃には、歯以外の原因で人生終っていた人が多かった。
今はどうですか?50歳で入れ歯になってもまだ残り半分の50年残っていますよ?
残り半分の50年の人生を入れ歯で過ごすのですか?総義歯の咬合力はその前の1/3に落ちます。美味しい歯ごたえのある食べ物が食べられなくなります。

これでいいの?それでいいよ。。という人はいないと思いますよね?

ではどうするのか?安易に一番最初に小さな虫歯を削って充填する歯科治療をしてしまえば、次々に歯科治療を繰り返したあげく、歯はなくなります。

・・もう解りましたね?

最初の虫歯を削らないことが大切です。
これが予防歯科の基本。
最初の虫歯を削らなければ、次のステージには進みません。

要するに歯を削ることを諦めるのが予防歯科なのです。つまり予防歯科は歯科治療の過程でお金をいただくことを最初から諦めること。

厳しいです。貧乏生活にあえて甘んじること、それが予防歯科です。
うちの歯科衛生士は自分の給与と歯科助手の給与は自分で稼ぐという意識を持って働いています。歯医者は削って抜いて儲けるということを拒否しているのですから。スタッフには自費治療を患者に勧めたりするノルマはありませんが、機械器具を大切にして経費は最小限に抑え、リソースのすべてを患者に還元するということを心がけることが求められます。

つづく、多分。

 - 削らない・抜かない歯科治療, メインテナンス歯科