ノンクラスプデンチャーの考え方その4

   

経験の少ない実務家にとって、義歯の外側、頬側部分がもっとも解りにくい部分だろうと思う。この部分は主に「維持」という義歯がある程度外れにくい、咀嚼時の脱離に抵抗するという重要な機能を持つ部分だ。

その1でも述べたが、経験的には「2歯+1/2」がもっともバランスが良い。
メタルクラスプと異なり、クラスプ先端を遠心から3つ目の歯の遠心のアンダーカットにしっかり埋める。フレキシブルな素材ならではの設計方針だ。

遠心最後臼歯のさらに遠心半のアンダーカットはしっかり殺しておく、そうしないと着脱できない。それより前方のアンダーカット量は0.5mm以上取って良い。

骨隆起のアンダーカットは殺して、リリーフもしておく。

右側

対合歯と干渉しないように。しかし審美的に歯冠が全く見えないのも良くないだろう。クラスプの幅が移行的に細くなるように設計することが、繰り返しかかる応力により破折することに抵抗する。要するに壊れにくいので長持ちする義歯になる。

この維持腕の設計にはヤング率(たわみ率)の考え方をしっかり持っていないと、耐久性に欠ける義歯となってしまう。

ヤング率は長さの3乗に反比例し、厚さの3乗に比例してたわみ難くなるという性質がある。また幅には(1乗に)比例する。

技工操作上はそれぞれ3乗で効いてくる長さと厚さをコントロールすることは難しい。要するに長さと厚さはあらかじめ左右で一定にしておくのがもっとも作りやすく、失敗がない。

先端に行くほど一様にたわむようにするには幅を移行的に細くすることによって得られる。要するに幅をコントロールするのがもっとも良い。

左側

対合歯有り

人工歯はハイブリッド素材で自作した。
右側

左側

次回は仕上げと口腔内セットか?
つづくと思う。

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