今日の抜歯再植術シリーズ86.00

   

40代女性、右上1、歯根破折

食べていると、突然音を立てて割れた。

詳細はわからないが、アメリカで歯列矯正治療を受けたことがあり、アメリカでは上顎前歯部の歯列を引っ込めた方が美人だ、という考えで、歯科矯正治療を薦めるようだ。
それで、下顎前歯が上顎前歯の裏側に強く当たるようになり、歯根破折に至る。
アメリカの矯正歯科医が対策を取っている形跡は認められない。ただ患者にはこれが良いのだ、と思い込ませる話術は得意なようだ。

ただでさえ短い歯根は太い角ワイヤーを使った所為か、吸収されて、さらに短くなっている。

患者の将来を考えると、厳しい事態しか思い浮かばない。

唇側の深いところまで、鋭角に剥離破折しているようで、鋭縁部には歯根膜が付いていると思われ簡単には抜けない。

口蓋側から見ると破折線が見える。

歯冠は麻酔をして引っ張ると簡単に取れるが、

歯根は簡単には抜けない。

深いところまで剥離破折していので、抜歯再植以外の方法では保存できないだろう。
いわゆる差し歯もできないので、抜歯して義歯、ブリッジ、インプラントのオプションしか残されていない。
それにしても、歯根は短い。一般的には歯冠より歯根の方が1.5倍ほど長い。
この症例では逆に歯冠より歯根の方が短い。

つづく

 - 削らない・抜かない歯科治療, 外傷性咬合, 義歯