削る治療と予防 (11)

      2017/02/26

今現在行われている削る治療は、
100年以上前に米国の歯科医G.V.Blackという方が確立したということになっています。
表題の進入禁止の方の図がこの方の著書に載っているらしい(実物を見たことがない)。
これ以来100年間変わらず削る歯科治療は続いているわけです。
これを一概に否定するものではありませんが、
ちょっと待てよ、、と思うわけです。

一方、予防というのは下図の「ステファン・カーブ」に始まるとされています。
これは砂糖水を与えた歯垢のpHを縦軸、時間の経過を横軸にグラフにしたものです。
砂糖水から5分以内にpH4.5以下になり、
30分以上低いpHは続くという(歯が溶ける?)というものです。
この図も100年以上前に発表されています。
ステファン1

ところがこの図を予防に応用するには長い年月が必要でした。
1980年ごろになってやっと「カリオロジー(虫歯学)」という学問が始まりました。
それまでは虫歯とは何なのか?実は誰も知らなかったのです。
原因が分らないでは予防もあったものじゃないですね。
対症療法(削る治療)に終始するしかないわけです。
実は今でも本当のことはよく分っていないのですが。

虫歯とは何なのか?その検査方法は?そしてその対策は?
スウェーデンのルンド大学のダグラス・ブラッタール教授の仕事により確立しました。
やっと20年前のお話です。
それがこれ、唾液検査によるレーダー・チャートの作成とそれによるPCによる診断方法です。
これでカリエス・リスク(虫歯になりやすさ)が分かります。

カリエスリスク2
項目は8つだけ、
唾液の量と質(多くてさらっと)、
唾液の緩衝能(重曹成分、重炭酸イオン、要するにアルカリが多いか少ないか)、
2種類の虫歯菌の量、
飲食回数は多くないか、
歯磨きが上手か下手か、
フッ素を使っているか、
その他(DMFT)。

たったこれだけなんです、
でもこれでやっと歯科も科学的な虫歯の診断方法を得たのです。
見た目は同じ虫歯でもできた理由が違うわけです。
今まではすべて削っていましたが、
その必要が無い虫歯もあるのです。
それがこれ、

虫歯10 虫歯2

カリエス・リスクが十分低い場合、
飲食回数のコントロール(1日4回まで、寝る前は飲食しない)、
ステファン2
飲食後の重曹水洗口(500ccのペットボトルに重曹小さじ1杯作り置き)、
歯磨きは1日朝晩2回。
これだけで6歳時の虫歯が2年後には再石灰化し、削らずに済みました。

このように出来てしまった虫歯を再石灰化させるのは、
かなり難しく、極端な砂糖制限など、
かなり苦しい戦いを強いられます。
歯磨きやフッ素だけでは通常無理です。
特にカリエス・リスクの高い人は絶望的です。
フッ素はまだ出来ていない虫歯予防だと思ってください。

カリエス・リスクの高い人でも、
「重曹水洗口」は楽に虫歯の進行を止めることができるツールです。

歯が酸で溶けるというならアルカリで中和しようという単純なことです。
元々唾液中には重曹成分が含まれています。
これは自然な防御機構だと思いますが、
それを補強しようというコンセプトです。

是非、飲食後重曹水を口に含むだけ!やって見てください。

なぜ、削る治療がいけないか?
それがこの図、
治療の流れ2
歯科治療には寿命があるので、
一旦削ると必ず悪くなり、
削る治療を繰り返した結果、
入れ歯になる(歯が無くなる)、、というものです。
カリエス・リスクが高ければこのサイクルが短くなります。
人生50年の100年前なら問題なし、ですが今は・・・
しかもそれだけではない、
G.V.Black先生の仕様では使用金属はゴールド(金)に限られます。
銀歯はだめなのです、
でも金歯は保険きかないし、、、
・・・そういうことです。

エナメル質は再石灰化して自己修復されますが、
これを削るということは・・・
みすみすお宝をどぶに捨てている。

この問題を一挙に解決するのが予防なのです。

かんたん、お金もかからない。

でも、歯周病はだめです。
定期的なクリーニングが必要。

おまけ、
表題図の再石灰化(自然治癒)する大切なエナメル質をなるべく削らないで治療する方法。
うちのHPにのせていますが、「トンネリング技法」とか言うらしい。。

C治療1 C治療2 C治療3 C治療4

図は「日本ヘルスケア歯科研究会」のスライド&図版、
熊谷崇先生の著書から引用

 - 削らない・抜かない歯科治療, 虫歯予防等一口メモ