外傷性咬合7.0

      2018/10/02

40代男性、右下6、歯冠破折、自発痛ー

食事中に割れたそうですが、特に痛みはなかったそうだ。

幸い縦に深く割れておらず、露髄していなかった。

最近、外傷性咬合の方が多くなった印象を受ける。歯牙破折に至らなくても、咬合痛や知覚過敏、隣接面カリエス、局所的な歯周病の悪化、歯髄壊死などを訴える方は多い。

外傷性咬合の症状は多岐にわたるので、歯科医師としても個々の対症療法に終始して、根本原因を見逃してしまいがちだ。木を見て森を見ずということなのだろうが、歯学部では外傷性咬合に関する講義を受けたこともないし、対処法すら習ったことはない。僕が歯学部の学生だった頃は外傷性咬合という言葉も概念もなかったように思う。今はどうなのだろうか?

そんなことを言ってもしょうがないので、なんとか対処してあげたいのだが、現実的には、対症療法に終始するしかないし、根本的な原因が何かすら分からないのだ。
多分に性格的なものやメンタルヘルス上の問題もあるのだと思うが、歯科医師がそこまで介入しても診療報酬があるわけでもない。要するに尻の持って行きようがないのだ。

しかし、咬合性外傷というものは患者が無意識、無自覚の内に歯牙に対して過剰な咬合力をかけてしまい、最悪自分自身の歯を噛み割ってしまうということなので、見過ごすわけにもいかない。しかし、患者が自分でそのことに気がつくだけで、治ってしまうことも経験する。少なくともそういう自分の無意識の行動を意識上に上せることが治るための第一歩ではないかと思う。

この方も考え事をしていると何時の間にか噛み締めていることに気がつくことがある。それは子供の頃にしっかり噛んで食べるのが良いことなのだ、という親や先生の言いつけを守って、しっかり噛む習慣ができてしまっているとか、そういうことがベースにあるようだとおっしゃっていた。

インレーを除去して

破折面を覆っていた歯肉を除去し、覆とうセメントも除去し

α-TCPセメントで覆とうし

CR充填した

歯牙には細かなクラック(ヒビ)があって、補強冠が必要だと判断したので歯冠形成・印象して

補強冠を作製してセットした

つづく

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