歯科医院長mabo400のブログ

I歯科医院の高楊枝通信。

外傷性咬合7.2

2018/10/02
 
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外傷性咬合は様々な不快症状というか不定愁訴の原因になります。
虫歯や歯周病でさえ外傷性咬合が原因と言っても良いかもしれません。

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外傷性咬合とはどういったものかというと、これまた様々なので、体系的にここで述べることなんか面倒くさい。
ま、大まかに言うと、局所的な歯並びに起因する外傷と、嚙みしめや歯ぎしりと言った、全顎的な外傷があるのですが、問題になるのは後者でしょう。

では、嚙みしめや歯ぎしりをなぜするのか?
その原因はまだ知られていませんが、歯牙や歯周組織、関連筋群に及ぼす影響は大きく、最悪歯牙が破折して失われてしまうのです。

食いしばっていることが良いことだと思い込んでいる方も結構いて、しっかり噛んで食べるのが良いとか、口元をキリリと結んでいるのが良いのだとか、食いしばることにより力が出るとか歯を鍛えられるとか思い込んでいる方も見かけます。
もちろん硬い食べ物や歯ごたえのある食べ物が好きという方もいるでしょう。
ま、これはいい加減にしておかないと、歯が壊れてしまいます。

一方、歯列接触癖(TCH)というのがあって、これはいつも上下の歯列を無意識に接触させてしまう習癖というものですが、このTCHが外傷性咬合のベースにある方は多いという印象はあります。
通常は上下の歯列は接触しておらず2〜3mm開いているのが正常とされており、顎を開け閉めする筋群がリラックスしていると下顎の重さにより上下の歯列間に隙間が生じます。これを安静空隙と呼んでいますが、咬合に関与する筋群が過剰に緊張していると安静空隙は失われ、その状態がTCHというのです。

TCHのメカニズムですが、歯根膜〜咬筋反射という無意識のうちに起こる脊髄反射があり、それが不調を起こしているとされています。歯根膜にある圧力センサーが過大な咬合圧を感じると、咬筋群の緊張を緩め、上下の歯を離す。その経路のどこかに不具合がある。

咬合というのは咀嚼運動を含めた半自動的な運動で、意識的にも無意識的にもやっています。ですから、外傷性咬合はある程度意識的に避けることができるはずです。車のバックミラーやパソコンのモニターに「歯を離せ!」と書いた付箋紙を貼っておくのも効果的です。要するに意識上に乗せることが外傷性咬合を回避する第一歩ということになります。

それでも就眠時には無意識のうちに食いしばったり、歯ぎしりしたりしてしまうわけです。

それを避けるのがナイトガードと言われるマウスピースの一種で、寝ている間に装着します。対症療法ではあるのですが、一定の効果はあります。夢の中でサンダルの底のような硬い肉だな、、と思っていたら、いや、これはマウスピースなんだ、と気が付いて、それ以来嚙みしめはしなくなった方もいます。要するに外傷性咬合が治ったわけです。

柔らかめのシリコン樹脂や硬いアクリル樹脂で作るのですが、この症例はシリコン樹脂です。

模型から外したところ

以下の方法は寝ている間ではなく、起きている時の嚙みしめを回避する方法です。
嚙みしめているときは中心咬合位でガッツリ噛んでいて、この時臼歯部に過大な外傷力がかかります。過大な咬合力がかかっても気がつかないというか自動的に歯を離す反射運動が起こらない。この経路のどこかに抑制がかかっている。
この時前歯は当たっていない人の方が多いという事実があります。

そこで前歯で当たるような噛み方をすれば、臼歯部は離開してTCHは回避できます。前歯の歯根膜センサーは敏感なので、ネガティブフィードバックがかかり、過剰に噛むということは少ないだろうという考えです。

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Comment

  1. 晩成ぼうず より:

    大変勉強になります。ありがとうございます。
    最近の私は、歯に水がしみるたび、クラックからの虫歯の進行が思いやられています。
    感情で反応せず、クールに対処していくしかないですね。
    アパガードなどでクラックがふさがったりしないものでしょうか?

    >前歯の歯根膜センサーは敏感なので、ネガティブフィードバックがかかり、過剰に噛むということは少ない

    前歯で試してみたら、まさにそのとおりという感触が得られました。
    私はディープバイトで、上の前歯が当たらないため、前歯の歯根膜センサーが機能していなかったようですね。
    「金持ちになったらインビザラインで直せば…」などと妄想が始まりますが、果たしてそんな日はやってくるのか??

  2. mabo400 より:

    アパガードでの自動修復の限界を遥かに超えています。
    インビザラインではディープバイトは治りません。
    これも前噛みしていると治ります。

  3. 晩成ぼうず より:

    食事の際は前噛みですね。
    私はすでにディープバイトなので、前噛みだと奥歯が使えなくなる気がしますが、
    いろいろ研究していこうと思います。

    普段は、舌の位置を正すようにしています。こういった本(ttp://bookclub.kodansha.co.jp/product?item=0000226691)などを読んだので…。
    舌は、「上アゴに軽く接触」させておくものなんですね。
    今、このpdf(ttp://www.shien.co.jp/book/sample/s3/7601.pdf)を読むまで、強く押し当てるべきと思っていました(笑)

    歯はできるだけ長持ちさせたいものです。

  4. mabo400 より:

    ディープバイトの原因というのもよく分かっているわけではないのですが、
    ここのどこかに考察しています。寝相が原因の1つだったような。
    ディープバイトの改善方法に前歯でしか噛めないような床装置を作って、
    奥歯が伸びてくるのを待つというのがあります。

  5. 晩成ぼうず より:

    幼児の頃、あおむけ寝ではなかった記憶があります。
    小学生ぐらいの頃は、ソファにうつぶせになり、アゴを肘掛けに乗せて、テレビを見ていたものでした。
    その間、奥歯はガッチリ噛みあわせ続けていたと思います…。

    幼き日の失敗談はさておき、前噛み、これはグッドですね(笑)
    神経センサーのおかげか、食べることに集中できるようになります。
    今風に言うと「マインドフルネスに食事ができる」でしょうか。
    前歯で食べるダイエットというのは、一時期話題になっていたようです。

    前噛みを試してみて、自分が今までいかに前歯を使わず、奥歯を酷使していたか、思い知った感じです。
    背景には、先天性欠如の側切歯の乳歯を、無意識的にかばっていたこともある気がします。
    ひとまず、前噛みの反復学習をがんばってみます。

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