今日の充填治療413(上級編)

      2018/10/28

20代男性、左上親知らず、頬側面〜遠心カリエス、自発痛ー

この部分は磨きにくいだけではなく、ほっぺたにいつも覆われているので、口腔内で酸素濃度が最も低くなりやすく、酸素濃度差腐食の腐食電極になりやすい。

他院で抜歯を宣告されたので、うちに来られた。
確かに切削器具が届かないし、直視が難しいのでミラーテクニックが必要になる。
CR充填はとても無理なので、インレー・クラウンの適応となるが、
インレー・クラウンの形成だと4/5冠以上の形成になり、
形成だけではなく印象もセットも難しい。
こんな歯の保存治療を試みても上手くいくはずがないので、抜歯の選択となる。
それは当然のことで、世界中の歯医者は例外なくそうするだろう。

患者さんにどうしてうちに来ようと思ったの?と訊いたら、
なんとなく抜かない方がいいかと思ったから、だそうで、
全部の親知らずがきっちり咬合に関与しているのなら、
保存する意味もあるとは思う。

さすがの僕でも完全な治療ができるとは思えないので、再治療が必要になるのか、
やはり抜歯しかなくなるのかまでは保証の対象外だ。

形成前

途中

マージン付近は新鮮象牙質を確保したが、遠心のエナメル質は部分的に破れている。
全部削除するとほとんど頬側の歯冠は失われるので、今回は全面的に覆うことにした。
完全に覆うことはできないし、徐々に周りから溶け始めるとは思うが、進行を遅らせることはできるだろう。

α-TCPセメントで覆とうし

CR充填した

マージンの削合

CRで覆った遠心面が見えるように

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