今日の抜歯再植術シリーズ95.02

      2018/11/21

40代女性、左下6、Per+GA

時々腫れて、痛い。自壊して排膿を繰り返す。
かかりつけの歯医者さんで抜歯を宣告されうちに来られた。

前回のつづきだ。

http://mabo400dc.com/dental-treatment/post-29567

レントゲン写真など見ていると、根尖までしっかりと#60付近まで拡大されていて、根管充填されている。
この治療をした先生はとても真面目な方だと思う。
西洋歯科医学の基本治療をしっかり実現している理想的な治療に見える。

それでも、ダメな時はダメなのだ。
どんなに頑張っても報われない(こともある)。それもしばしば。
それが歯科医療の現実。

これが分かるまで、10年はかかりました。
人間ができることなど知れたもの。

何もしないのが一番良い。

昔、歯学部での歯内療法の講義で教授が、

「最も優れた根充材は歯髄だ。」

と言っていたのを思い出す。

これは歯内療法(神経を取ること)はするな、と言っているのに等しいw

やはり、教授が言っていたことは正しかった。

・・これは遠心根だが、メタルコアのセメントも崩壊していて、細菌が侵入している。
内面が黒色のFeSで覆われていることから判る。FeS(硫化鉄)は硫酸鉛還元細菌の代謝産物だ。

根充材が根尖口から覗いている。緊密な隙間のない充填が求められるのだが、どうだろうか?
そもそもそんなことができるのだろうか?

理想的という言葉があるが英語ではidealだ。
idealという言葉はideaという言葉から来ている。
ideaというのは頭の中に閃いた着想という意味で、
所詮、頭の中だけにあるものだ。

現実は厳しい。
100%、理想的な歯内療法というものはない。
所詮、なんとなく人体の治癒力に頼っているだけの話だ。

根尖口を開拡してみると、内部には黒色のFeSが見え、根管の奥まで細菌が侵入していたことが分かる。

綺麗にして

再建の準備を終わる。

つづく

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