今日の充填治療416(初級編)

   

30代女性、ミュンヘン在住、左上3、C2、自覚症状なし

うちはいつも走り回っている野戦病院状態でPMTCを忘れて申し訳なかったです。
今回の来院の目的はミュンヘンの歯医者さんで、小臼歯が3本虫歯なので、セラミックスのクラウンにした方が良いと言われて、
3000ユーロの見積書が送られてきたが、どう思うか?ということでした。

1本1000ユーロですから、1本12.8万円ということですかね?
日本でもそんな感じですからね。。
ミュンヘンは家賃が高いそうですから、患者にかなり請求しないと歯科医院の経営も厳しいのでしょうね。。

ま、世界中の歯医者はやたら削りたがります。。
削れば削るほど儲かる仕組みになっていますし、
虫歯の進行を止めることは絶対にできず、
なるべく早く削って修復しないといけないと固く信じていますから。

レントゲン写真はデジタル処理されており、エッジ強調により虫歯がやたら目立ちますが、
直接見た感じではクラウンは必要ないと思いました。

この方はレントゲンを見る限り年齢の割には歯槽骨が下がっていて、歯周病が進行していますので、
外傷性咬合の持ち主だということが疑われます。
セラミッククラウンにすると、さらにその下の歯質が虫歯になるでしょう。
できるだけ何もしないで、ナイトガードを使って安静にしておくのが一番です。

この虫歯は2年前と比べて進行していましたので、介入しました。
象牙質まで進行していますので、C2の病名になります。

エナメル質を除去すると軟化象牙質(虫歯)が見えます。
この軟化象牙質には細菌が侵入しているのだろうな。。と思われるかもしれませんが、
顕微鏡で見ると拍子抜けするほどいないのです。
表面付近に好気性もしくは通性嫌気性の酸産生菌が住んではいますが。

虫歯は細菌感染症ではなく、金属のサビ・腐食と同じ電気化学的な腐食現象ですので、細菌の存在は必ずしも必要ではないのです。
ただ、歯には電子は流れずプロトン(酸)だけが流れるので、酸性環境であることは必要で、さらに象牙質とエナメル質間に起電力が必要になります。ちなみに象牙質とエナメル質では象牙質の方がイオン化傾向は高いですので、この2つが電気的に接触していると象牙質だけが選択的に溶けます。

虫歯になる条件はこの2つだけです。

虫歯を除去しますが歯髄に近い所の虫歯を追求する必要はありません。

虫歯の進行を止めるにはイオンの侵入を遮断(電気の電導性を遮断)できれば良いので、
強固な辺縁封鎖性を得るためにマージン付近だけ新鮮歯質が確保できれば良いのです。

α-TCPセメントで覆髄します。このセメントは歯質と同じハイドロキシアパタイトで、強アルカリ性ですので、
静菌性があり、軟化象牙質の再結晶化を促します。要するに虫歯が治ります。

CR充填して処置は終了しました。

 - 今日の充填治療シリーズ, 外傷性咬合, 虫歯の電気化学説