今日の何やっているの?シリーズ213

20代女性、右上6の違和感。
上下の歯列の最大接触である中心咬合位での位置関係
咬合調整は難しいものとされており、歯科業界ではオカルト的な話が取り出たされたり、
大学を出たての歯科医師にはさっぱり解らないものの一つでしょう。
20年歯科医師をやっていても、解らない人の方が多いような印象を受けます。
なぜかというと、歯科大学、歯学部では教えないからです。
というか、微妙過ぎて教えることが困難というのが大きいと思います。
咬合調整を解っていない大学の教員も多いという現状ですから、なおさらでしょう。
このケースは学校でも教える典型的な症例で、
画像に残すこともできたという希な症例です。
学校では「犬歯誘導」という下顎を側方に動かした場合に、
上下の犬歯以外は当たらない、というのが正常咬合だと習います。
この症例では右上の6番に違和感があるということで、メタルインレーの2次カリエスというのもありますが、
咬合の問題を考えてみました。
側方運動時に最初に接触するのが、案の定、右上6でした。
3番は当たっていません。
たぶんこの方ははぎしりをされているのでしょう。
これで違和感が出るのです。
そこで、上顎6番の頬側咬頭の内斜面を削合したところ、
4番が当たるようになりました。
4番も同じように削合したところ、4番だけではなく3番も接触するようになってきましたので、
これで良しとすることにしました。
犬歯を含めた小臼歯も側方運動に寄与することは「グループ・ファンクション」という名で知られています。