今日も野戦病院シリーズ16

歯は磨かないけれど、
カラコンして、アイメイクしている高校生なんですが、
あのときのつづきです。
まあ、そんなことは関係ないと思われるかもしれませんが、
やはりおおありなんですね。
もう少し歯に感心を持ってもらえばこんなことにならないと思うのですが。。
じつはこの娘は5年前に歯冠崩壊寸前でうちに来て、
2010/5/1
CR充填しています。
その後来なくなったので、
この歯がどうなったかを訊いたのですが、
「折れたので自分で抜いた。」というのですね。
「詰め物が外れたの?」と何度訊いても、
そうではなく、歯が折れたので、自分で毟り取ったというのです^^;
で、5年後、
ふつうの歯医者さんは、このレントゲン写真を見ただけで、
保存不可能>抜歯と考えます。
ま、歯医者ではなくても抜くしか無いと思うと思います。
2015/11/13
画像を見ても、歯肉息肉だか歯髄息肉だか判りませんが、
軟組織で覆われています。
僕もこれほどみごとな生体防御反応を見たことはありません。
さすがに元気な若者です。
保存不可能とは言え、なんとかこれを治してみたいと考えましたが、
どうでしょうか?
取りあえず息肉を電気メスで切除してみました。
意外と齒質は残っていました。
髄床底は抜けていますが、
レントゲンで見るよりは歯があるな、という印象です。
軟組織で覆われていると虫歯にならない訳は、
「虫歯の電気化学説」によると口腔内と同電位になり、
電極を構成しないからです。
髄床底が抜けているのを見た時点で諦めて抜歯、、という歯医者さんも多いと思います。
今日は内部を観察できたので、
ひとまずα-TCPセメントで仮封して創面が治るのを待ちます。
でも、この娘のことだから、息肉で覆われたままの方が、
この歯は長もちするかもしれないね。。
と思いながら水硬性セメントで蓋をしました。
歯を作っても咬合力に耐えられる歯冠形態があるのか?
というのが最大の課題です。
この娘の話しを聞く限り、また折れるよね。。
つづく