今日の充填治療163

50代男性、右下6、遠心歯根面カリエス、症状無し。
この方は歯周病により歯根が露出していて、歯根面のカリエスになりやすい。
2年前の2013/10/23のレントゲン写真では虫歯はそれほどでもないと思われた。
左隣の7番の遠心も同じ様に虫歯になりCR充填したが、
その後神経症状が出たので、診てみると遠心根だけが壊死していたので、エンド治療をした。
近心根は生きている。
現代歯科医学では同じ歯でも失活している歯根のみエンド治療をすることなど想定外だろうが、
そんなことはない。
2015/04/27のレントゲンによると、虫歯は大きくなっているように見える。
「虫歯の電気化学説」によると、
同じ歯でも遠心(奥の方)が近心よりも虫歯になりやすい。
なぜかというと、遠心の方が酸素濃度が低いので、相対的に陰極になり、通気差腐食が起こり易い、と説明できる。
また歯根面(象牙質)が選択的に虫歯になるのは、
イオン化傾向がエナメル質<象牙質だからと説明できる。
「虫歯の電気化学説」以外ではこういう現象を説明できない。
遠心の歯肉縁下の虫歯は発見も困難であるばかりではなく、
CR充填治療はもっと困難を極める。
通常は何も考えずに神経を取ることを考えると思う。
この症例も、この部分だけCR充填しようと頬側面から虫歯にアクセスしたが、
よく見えないので、無理だと思い、咬合面からも虫歯にアクセスした。
歯肉縁下3〜4mmに切削器具を届かせるのは難しい。
マージン付近の虫歯が十分に取れたかどうか確認のしようもない。
α-TCPセメントで覆とうすることも難しい。
今回も覆とうなしでCR充填した。
歯髄症状が出たらまたご報告予定。