今日の抜歯再植術シリーズ39.00

      2017/03/20

30代女性、右上7、歯根破折、髄床底穿孔、Per(根尖性歯周炎)

画像が多いので、3〜4回シリーズで掲載予定です。

他院では保存治療が困難もしくは不可能という診断で、
他県より当院に来院されました。

お話を伺うと6年前からの長い経過があるようです。
僕は経過を見ていないので、はっきりしたことは判りませんが、
破折線の着色具合や膿瘍(炎症性組織)の形成状態からみて、
破折したのはこの1〜2年の話しではなく、
かなり以前のことのように思えた。

近心側の歯肉が腫脹している。
歯牙の動揺度1〜

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仮封セメントを除去後のレントゲン写真

歯根周りの歯槽骨の欠損は少ないように見えるが、
実際は近心の歯槽骨は根尖付近まで失われていた。
歯槽骨が再生することは難しいと思われるので、
深い歯周ポケットを長期に渡って維持管理することが必要になるが、
今は考えない。
とりあえず、抜歯を免れることに集中する。

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咬合面側から髄腔内部を観察するとクラックが近心頬側根から口蓋根の近心寄りに走っている。
完全離断はしていないようだ。

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スプレーだけで出血する息肉があり、
髄床底に穿孔があるように見える。(上→)

もう1つの息肉(下→)は抜歯して判ったが歯髄息肉だった。

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抜歯すると簡単に抜けた。
理由は歯根が短いだけではなく正常な結合組織はほとんど失われており、
歯根表面は柔らかい膿瘍で覆われていたからだ。

抜歯時に歯槽骨があると思ったところに日大式エレベータ(抜歯器具)を入れたら、
おもいっきり空振りした。
歯槽骨と歯牙の間をねらってエレベータを挿入するのだが、
歯槽骨が吸収されていて、口蓋粘膜と口蓋骨の間に器具が2cm程滑り込んだ。
僕の腕はこの20年来慢性の腱鞘炎でスプーンでカレーライスが食べにくい程不自由なので、
とっさにコントロールが効かなかった。
指先だけは動きますので、仕事はなんとかできますが。。

今、剥離した隙間に血液が入っているようですが、
そのまま治りますのでお許しください。

抜歯窩、
黒→の範囲が歯槽骨が失われていて、歯肉が腫れているところ。
楕円部分がエレベータで裂けた部分。

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楕円で囲ったところは正常な歯根膜だが、
その他の軟組織は膿瘍だ。
この部分の歯肉が腫れていた。
腫れるにはそれなりの理由がある。

近心歯根面

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遠心歯根面。
こちらも正常な歯根膜は楕円で囲った部分だけだ。

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歯根分岐部
→が出血部の息肉を裏から見ているところ。

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膿瘍を除去するとあらかじめ充填しておいたα-TCPセメントが見えるところが穿孔部分。

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つづく

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