今日の2次カリエスシリーズ73

40代女性、左下7、メタルクラウン2次カリエス
10年以上経過した固定式補綴物は多かれ少なかれセメントは崩壊していて、
部分的にしろ冠と歯質の間には隙間がある。
隙間があっても直ちに虫歯になるわけではないが、
この辺りの事は臨床経験の豊富な歯医者は知ってはいても、
なぜそうなのかは説明できない。
セメントの歯質接着性ばかり気にしているが、
接着性があっても、脱離するときはする。
長年この点に注目して観察しているが、
接着性に期待しすぎるのもどうかと思う。
隙間があっても虫歯が進行し難い環境がある。
ここの過去記事では2次カリエスの進行に影響を与える要素を幾つか挙げていて、
整理してみると、
1、隙間の大きさが嫌気性の硫酸塩還元細菌が生息しやすい環境に適した十分小さいものであること。
隙間は大きくなると、好気性通性嫌気性の酸産生菌が優勢になり2次カリエスは進みやすい。
2、メタルは剛性は高いがイオン化傾向が歯質より小さいことに注意する必要があること。
剛性が低いと咬合力によりたわみ、隙間が大きいことと等価になるようだ。
3、セメントは歯質よりイオン化傾向の大きい物質が含まれていること。
などだ。
除去すると、冠は脱離していてFeSが付着している。
これがあると虫歯は進行し難い。
2次カリエス部分を除去していくと、歯冠高径が低すぎるのでピンレッジを施したが、
どうせするなら、2次カリエス対策として Rounded CR core additional pin ledge にした。