今日の充填治療319(上級編)

大分県在住10歳女子、右下6、遠心カリエス、冷水痛+
通常この年齢でこの場所に隣接面カリエスができることは珍しい。
この子は1〜2年成長が早いようで、12歳臼歯がほとんど萌(は)えている。
左下は全部萌えている。
それでも、この部分のカリエスは普通ではないので、
原因を探りながら処置を進めた。
マージン付近の新鮮歯質を確保してみると、
エナメル質にクラックが認められる。
このクラックから内部に隙間腐食が進んだのではないか?と考え、
噛み合わせを見てみた。
乳臼歯部分の噛み合わせが十分ではないようにも見える。
第一乳臼歯が早期に脱落して、6番に過大な咬合力がかかるような事態が起こったのかもしれないが、
詳細は不明だ。
クラック部分はCRでカバーするために
α-TCPセメントは除去している。
CR充填後
CRが溢出したので、トリミングしようと思ったが、12歳臼歯(7番)が近くにあるので、
7番を傷つける恐れがあったので、レントゲンで確認した。
歯肉を除去しないとトリミングは難しいと判断し、後日行うことにした。
この年齢でDEジャンクションに届くかなり深いカリエスになっているということは、
次の処置は神経を取って冠の装着ということになり、
しかもクラックが象牙質に達している可能性も否定できない。
この子の生涯の長さを考えた場合、相対的にこの歯の寿命はすでに短いことが考えられる。
注意深く見守って行く必要があると思う。