歯科医院長mabo400のブログ

I歯科医院の高楊枝通信。

今日の抜歯再植術シリーズ126.00

 
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40代女性、左上4、Per

この数年、フィステルができて、時々排膿したり、腫れ、咬合痛、違和感などに悩まされていた。
ご本人も過去の経験から抜歯になるのではないかと恐れ、必死でネットを調べて、うちにたどり着かれたそうで、まぁ、ご苦労様です。

僕も最初は歯根破折か?と思って、

ブリッジの片割れのクラウンをカットしてみたところ、あっさり外れた。とっくの昔にセメントは緩んでいて脱離していた。
冠が外れた瞬間、硫化物系の匂いがした。硫酸塩還元細菌の代謝産物だ。
内部は細菌のコロニーだらけだ。矢印。

冠の内面も硫化物が付着している。

多くの人は作り物の歯はいずれこういうことになるということを見ることは少ないと思う。
見ることができるのは歯科医師とDHだけで、患者に見せる歯医者がいるのだろうか?
DTは見ることはないだろう。見たらモチベーションが下がるのだろうか?僕は大いに下がった。一所懸命作ってもこうならない保証は全くないからだ。

プラークを除去してみても、なんとなくCRコアも緩んでいるように見える。

CRコアを除去して内部を見ていくと、スクリューポストがあって、さらにその下から臭気が漂ってくる。

ポストを除去してみた。

除去したポストはあってはならないことだが、先端付近に硫化鉄FeSが付着している。隙間があって、硫酸塩還元細菌の住処になっていたということだ。FeSは硫酸塩還元細菌の最終産物だからだ。

虫歯とFeSを取り除こうとしたが、全部を取り除くのは難しい。穿孔させてしまう危険性が高い。
はっきりとしたクラックや破折線は認められないが、やはり抜歯・再植することにした。
抜歯して、直接見ながら綺麗にした方が確実だからだ。

内部はFeSで覆われている。この部分の象牙細管には細菌が浸潤しているので、ある程度は除去した方がベターだ。完全に取る必要は多分ないが。
はっきり言って、手抜きだと思う。それとも根菅充填をするのを忘れたか?w
まあ、どちらにしても大して変わらないとは思うが。

この症例は根尖からと根管口から要するに上から下から両方に感染しているということだ。

抜歯した。

歯根尖には膿瘍ができている。楕円部分は黒色のFeSが見えており、根管内部に細菌が侵入していることを示している。

患者さんは膿袋(うみぶくろ)と言っていたが、袋ではない。充実性つまり内部が炎症性の組織と細菌が詰まっているものだ。これが不快症状の原因だ。取り除けばスッキリと不快症状が無くなる。

つづく

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Comment

  1. より:

    最近ってそんな所まではいっていくのですね。嫌気性だから、虫歯にはならないのではないでしょうか。先端が細菌感染していると、自然治癒力では治らないみたいですね。

    • mabo400 より:

      ちょっと書き加えました。もう一度読んでください。
      硫酸塩還元細菌は還元過程でH+を出すので、虫歯菌ではないとは言えないかもしれませんが、代謝産物のFeSが電導性がないということで虫歯になりにくいと考えられます。

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