歯科医院長mabo400のブログ

I歯科医院の高楊枝通信。

今日の抜歯再植術シリーズ134.01

 
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30代男性、右下6、Per、穿孔 

この子はうちに勤めていたことのある技工士なんだが、
技工士学校の学生の頃、タダだから?ということで系列の歯科医院に行かされて、
そこの若い歯科医師の練習台にされてしまった、かわいそうな子です。

こういうことはよくあって、うちで患者として子どもの頃から削らずに虫歯を管理して、大人になって歯科衛生士になるために学校に行ったところ、帰ってきたら系列の歯科医院で、すべての臼歯咬合面が充填されていて、愕然としたことがある。何をされるか分からない(いや、完全にわかるのだが)、そういう業界だ。

表題画像のレントゲン写真を見ると、近心根にファイルが折れ込んでいる。
歯根が近遠心に分離している。
穿孔があってGA/fistelを繰り返していたのだが、本人は大して気にしていない。
これだから業界はやっていけるのだw

とうとう近心根が脱離したので抜歯・再植に踏み切った。
まぁ、このような症例を保存しようとする歯科医師は世界中を探しても存在しないだろう。抜歯・再植以外には保存方法はないが、それができたとしても長期保存は絶望的と考えるだろう。

通常は抜いてブリッジかインプラントか取り外しの義歯を選べということになる。

しかし、どういう状況でも諦めないことが重要だ。いくら絶望的でもどうにかする方法を考えて実践すれば良いのだ。すぐに諦めてしまっては先に進めない。ブレイクスルーの方法は必ず存在する。

どんなにボロボロでもそれが管理できるのなら自分の歯の方が良いに決まっているのだから。

うちにはこのような絶望的な症例を管理するシステムがあるから、保存できるのだ。

しかし、一般にはこういう絶望的な症例を無理に保存するより、抜歯して、義歯なりインプラントを入れる方が儲かるからそうするし、それが一般的なので、万一患者とトラブルになったとしても、学問的には問題ないわけであって、業務上の過失にはならないのだ。患者の利益よりは自己保身を優先するということをどうしても考える。

ここでは学問的にはかなり無理な症例を取り上げているが、それにはルーツがあって、最初に露髄しても神経を取る必要はないということを見せてくれたのは歯科医師になって最初に勤めた歯科医院の院長だった。彼は患者の顔がゴールド・インレーに見える人で、今ならジルコニア・インレーだろうが、まぁ、超絶守銭奴だったのだが、何を思ったか、露髄したからと言って直接覆髄しても何ともないんだ、と目の前でやって見せてくれた。いつもなら、露髄したら神経を取らないと後で痛くなるよ、とか患者に囁いている人なんだがw

次に諦めないことを教えてくれたのは次に勤めたチェーン展開していた大きな歯科医院の理事をやっていた先輩歯科医師で、僕が初めてインプラントの埋設オペをやった時アシスタントについてくれて、インプラント埋設予定位置に縦切開を入れ骨膜を剥がそうとしたら、抜歯窩が治りきれておらず凸凹に繊維化していたので、諦めましょうか?と言ったら、「ダメダメ、やるんだ、、」と囁いてくれた。それ以来、困難症例に当たるたびに、「ダメダメ、やるんだ、、」とささやき声が聞こえるw

従来方法では乗り越えられない問題を解決するに当たっての心構えを教えてくれたのは日立製作所の河村先生で、既存の方法にとらわれないでブレイクスルーを見つけることが重要で、過去のの文献や製品に学ぶな、自分の頭で考えろ、、どうしてもそれに引っ張られてしまうのだから、だそうで、その割には早坂先生の文献を全部集めろとか、おっしゃっていましたね。それは話が違うかw

今日は抜歯歯牙を綺麗にするまで。

前回のつづきだ

http://mabo400dc.com/dental-treatment/replantation/今日の抜歯再植術シリーズ134-00/

綺麗にするとは、接着面になる部分をタービンで一層削徐して新鮮面を出すことだ。
膿瘍は切除しながら、歯根面の問題点を探す。

近心根は近遠心壁が失われている。「ダメダメ、やるんだ、、」とささやき声が聞こえるw





遠心根は近心壁に根管形成バー?で穿孔した?痕が見える。根管口を間違えたのか? これを見るだけで保存を諦める歯科医師はいくらでもいる。







綺麗になったら再建に入る。

つづく

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