歯科医院長mabo400のブログ

今日の抜歯再植術シリーズ142

2020/02/21
 
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40代女性、右上4、Per

頬側にGAがあり、歯根表面に細菌感染しているという所見だが、その原因はよく判らなかった。クラックはあった。深い歯根面の溝はあった。エンド治療や根管形成時の穿孔の疑いはあった。
しかし、それほど深刻ではなかった。簡単に抜けたので、何らかの原因により細菌感染が起こり歯根周囲組織の炎症が強く出ていたということだけは分かった。

この歯は他院で歯根破折しているようなので、保存は無理だから抜歯再植をしてみようか。。と言われたので、うちにセカンドオピニオンを求めるということで来院されたのだが、うちでの説明の方が気に入った(?)ということで転院希望された。市内の他院でも再植を手がけようとしているのだなと思った。良いことだ。地域の歯科医療の質が上がるからだ。再植をしようとすると完全滅菌体制や患者の口腔内の維持管理システムの構築など周りを固めないと再植を成功させ、再植歯を長期にわたって維持することは難しい。再植になる歯というものは元々抜歯しか選択肢の無くなった、追い込まれた歯だからだ。

医療の質ということで一番の基本は感染予防対策の徹底だ。これが杜撰ではスタッフと患者に感染を広げてしまう危険性がある。

今回の新型コロナを蔓延させてしまったクルーズ船内の感染予防対策が杜撰だったことが問題になっているが根は同じだ。
感染症を広げないノウハウを持つ医師が現場の指揮をとるのではなく、素人の官僚・大臣が指揮をとり、周りはそのイエスマンばかりだったというのだ。見かけだけ防護服を着ても意味がないのは、患者ごとの器具の滅菌をしていても水平感染は防げない歯科医院と同じだ。

感染予防に重要なのは明確に「不潔域」と「清潔域」を厳密に分けて、不潔域に触れたものを清潔域に持ち込まない(自身の身体も含めて)ということだけなんだが、この「清潔」「不潔」という概念は一般的な綺麗とか汚いとかいう概念とはちょっと違う。一種の業界用語というべきものだ。

「不潔」というのは感染性の何か、病原性の細菌やウィルスなどが付着している可能性のあるものを表す。見かけの不潔というのとは違う。見た目が雑然として綺麗には見えなくても「不潔」ではないこともある。逆に見た目が非常に綺麗でも「不潔」ということはある。一般的な概念とは違うので、慣れない素人さんには理解できない。別の言葉にするべきなのかもしれないが、この概念が身についてしまえば、どんなに強い病原性のある細菌やウィルスがいる現場に入っても自分が感染することもないし、感染を広げてしまうこともない。

また真の「清潔」とは完全に「滅菌」された状態で微生物の存在がないというレベルのことだ。次のレベルが「消毒」レベルで、一部の消毒剤では不活化できない微生物が存在するということだ。
「滅菌」レベルを実現できるのは実用的にはオートクレーブとガス滅菌しかないが、オートクレーブは125℃以上になるのでプラステック製品は滅菌できない。消毒レベルがせいぜいとなる。地域の歯科医師に訊いてみるとガス滅菌を導入してるところは無くなったようだ。維持コストの所為だという。それならプラステック製品は全てディスポーザブルにしているのかというとそんなことはない。僕に言わせれば「心底怖い」状況だ。岩田教授と同じ感想だ。

今日は抜歯再植の話題だったはずだが、前振りが長くなってしまったので、詳細は割愛さえていただく。大事な点は膿瘍が存在している歯根表面の問題点を全て除去するということだが、やってみると、かなり健全歯質は少なくなってしまった。

抜歯から問題歯質の除去、再建、再植、固定、包帯まで時系列で画像をアップします。
詳細については過去記事を参照してください。画像をよく見てください。全てのノウハウが分かりますよ。表題画像は抜歯前。




















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