今日の抜歯再植術シリーズ162.04

50代男性、左上67、外傷性咬合による歯牙破折
前回のつづき
http://mabo400dc.com/dental-treatment/replantation/今日の抜歯再植術シリーズ162-03/
自称日本のシュワツネッガー
この方、若い頃から体力自慢で、歯が丈夫で(と思い込んでいる)硬いものが好き。骨でもなんでもバリバリ食べる。
息子と張り合うためにベンチプレスで鍛えていた。
無意識の内にやっているブラキシズムとはちょっと違うような気もするが、
食品の嗜好やスポーツで歯を壊す人が後を絶たない。
筋肉や骨は鍛えられるが、歯は劣化する一方なのだ。これを分かっていない人は多い。
なんでもよく噛んで食べましょうとか、余計な御世話だ。
・・・去年から、折れて、修復、補強連冠、と対策を講じたが、とうとう歯根が破折したようだ。
内部を見てみるとグズグズに崩壊している。
骨を噛み砕くということは自分の歯も噛み砕いているということだ。
歯冠部を除去して、抜歯するのだが、3根は全てバラバラになっている。
再建して膿瘍を掻爬して再植固定まで一挙にアップする。
手前側の6番も排膿しているのが判ると思うが、これも感染根管処置をした。
14年前からの同じ部位の画像を見ていただいたが、どうだろうか?
突然、崩壊がやってくるということが分かると思う。
この方には僕はブラックジャックと呼ばれているのだが、
ブラックジャックにもどうにもならない事態は必ずやってくる。
高齢になればなるほど、歯に過剰な咬合力をかけないように労わりながら使うしかないのだ。