今日の抜歯再植術シリーズ171.00

50代女性、左下5、歯根破折
抜歯・再植3連発だ。毎日のようにやっているので疲れる。どうにかしてほしい。
安易に歯科治療を繰り返したあげく、破折し抜歯になる。そして少しづつ義歯が大きくなっていき、10年程すると総入れ歯になる。その間にインプラントだかも入ったりする。
これが実情だ。
この歯の2年前、1ヶ月前そして今日、再植後の3枚だ。
たぶん2年前から破折していて歯槽骨は失われている。
2019/03/30
2021/03/08
2021/04/05
僕が再植してでも歯牙の保存に拘るのは、保存が最も省エネだからだ。
現状維持が最も資源エネルギーを節約できる。
抜歯してブリッジだのインプラントだの義歯だのとやっていては多大な資源エネルギーを浪費する。
もちろん経済は回らないし儲からないのだが、資源エネルギー減耗時代がすぐそこまで迫っていては、これも仕方がない。
野戦病院の当院(うち)では、まったりタラタラやっている時間はない。1回で終わらせる。これしかない。
今夜はとりあえず、抜いて抜歯窩の掻爬洗浄、隣接歯のトリミングまでだ。
血液を洗い流してみたところだが、面白いことに気がつく。
根管充填材の周りが黒くなっていることだ。
これは硫酸塩還元細菌の代謝産物の硫化鉄だ。
要するに緊密に充填されているはずの充填材料は緊密に充填されておらず。隙間だらけで、歯根内部は細菌の生息場所になっていたということだ。
理想とは裏腹に、現実はこんなもので、根尖口から細菌が出入り自由ということだ。
これはどんなに頑張って時間や費用をかけてもこんなものだと思っておいた方が良い。
西洋歯学とはこの程度のもので、とても不安定なものだ。イマジナリーな理想論に走り現実を見ていないのだろう。
人間は神ではない。すべてを完璧にこなすことはできはしないのだ。これをあっさり回避する方法があるが、まだ秘密だw
つづく