今日の抜歯再植術シリーズ95.00

40代女性、左下6、Per+GA
時々腫れて、痛い。自壊して排膿を繰り返す。
かかりつけの歯医者さんで抜歯を宣告されうちに来られた。
うちはなんですかね?最後の砦なのか、どうしようもなくなった歯の吹き溜まりか?
困難に挑戦される歯医者さんは少ないですね。
まあ、こんなのばっかりだと苦労する割には実入りが少ないですからね、
当然といえば当然。
レントゲン写真でも、大きな膿瘍ができています。
神経を取る治療というのは半分以上は多かれ少なかれ、このようなトラブルを抱えます。
治療時にまたはその後に細菌が侵入し、その細菌が繁殖しやすい隙間がどうしてもできてしまいそこで繁殖するのが原因です。
神経を取らないのが一番の解決方法なんですが、誰もしない。
その理由はお金にならないからです。リスクを取ってまでする人はいません。
頬側にGAができ、フィステルもできている。
冠は比較的簡単に外れた。
セメントは効いておらず、2次カリエスになっていた。
分割抜歯にすることにして、マージン付近の虫歯を綺麗してバーで分割した。
ところがなかなか抜けず、特に近心根は抜けない。
上の方は壊れた。
1時間もかかってやっと抜けたが、かなり傷ついた。
歯根もバラバラ、コアと歯根の間のセメントも崩壊して細菌の侵入を許していた。
黒い部分は硫酸鉛還元細菌の代謝産物のFeSだ。溝の底と同じ色だと分かると思う。
抜けなかった理由は歯根が先太になっていたことと、
後で気がついたが、歯根分岐部の歯槽骨に大きなアンダーカットがあった。
膿瘍もしっかり搔爬して
つづく