歯科医院長mabo400のブログ

I歯科医院の高楊枝通信。

今日の2次カリエスシリーズ101.01

 
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70代男性、右下7、穿孔+ブリッジ2次カリエス、000757

穿孔はともかく、ブリッジの2次カリエスというものは、抜歯に直結する。
抜歯ということは取り外し式の入れ歯が視野に入ってきたということだ。

2次カリエスが早期に発見できないで、抜歯、もしくは一歩手前に追い込まれる痛恨の事態はどうしても避けたい。

なぜなら、義歯、特に総義歯の咬合力は天然歯列の1/3に落ちる。
特に女性は元々咬合力は弱いので、総義歯になると急に老け込む。
これは食べられるものが減り、栄養不良になるからだ。

老け込むのは年の所為というわけではない。
歯があればいつまでも若くいられる。

前回の続きだが、

http://mabo400dc.com/dental-treatment/post-30073/

もっと早く2次カリエスに気がつけば良かったのだが、なかなかそうはいかない。
今回は僕が初診を見て、じっくり口腔内を診ることができたので、ブリッジの脱離に気がついた。
脱離による2次カリエスは抜歯との戦いになり、歯質が少なくなるほど予後は不良だ。

今回は2次カリエスの処置の仕方ではなく、
補綴物の脱離がなぜ起こるのか?起こりやすい人はどういう人なのか?
という話をしたい。

そもそも歯医者に来る人は外傷性咬合の持ち主が多い。
極端な話、全員そうだと言っても良い。

嚙みしめ、歯ぎしり、硬い歯ごたえのある食べ物が好き、不必要に強い咬合力で噛む人、もしくは長時間噛み続ける人など、
意識、無意識にかかわらず、結局自分の歯を壊してしまう。
自分の歯を噛み潰し、すり減らしてしまうのだ。
強い咬合力によるクラックや脱離により隙間ができると、急速に虫歯にもなる(これが今回の症例だ)。
もちろん知覚過敏症や歯周病、顎関節症などのあらゆる口腔内のトラブルの原因になる。

だから歯医者に行くのだが、患者は自分がそんなことをしているとは気がついていない。
単なる虫歯や歯周病かと思って来院する。
歯医者の方も外傷性咬合に気がつかなくて、
不用意に介入してしまい、
次々と歯が失われていく悪循環に陥る。
うちで新しく義歯になる患者はほとんどいないが、
その歯が失われていく悪循環を絶とうとしているからだ。

患者の口腔内に直接触る歯医者もそうだが、
歯科衛生士にも咬合性外傷があるかもしれないという観点で患者を見る必要がある。

今回の症例もそうで、咬合性外傷があることは見ただけで判るので、画像を良く見ていただきたい。

後学のために16年前の2002/03/29の画像があったので、2018/12/03の初診時のものと見比べて欲しい。
長年予防歯科を標榜して、すべての患者の1年毎の画像の蓄積がないと16年前と現在の比較などできない。
長期に渡り患者の口腔内の健康を守ろうと思えば、綺麗な口腔内写真を残すことが最も重要なことだ。
僕はいつも唾液の泡が付着していない画像を撮ることを第一にしている。
細部が写っていない画像をいくら残しても無意味だからだ。

正面観

2002/03/29
左上にはコーヌス義歯が入っている。この画像の数年前、僕が開業した頃に自分で作ったものだ。
その頃、僕は補綴専門医+歯科技工士を目指していた。
当時は丁寧な治療と技工物を作れば患者の歯は一生涯保つと考えていたが、現実は甘く無い。
今では、何もしないのが一番良いと考えている。
それは天然歯を傷つけることはしないということで、
すでに削られている歯を放置するということではない。

外傷性咬合のある方は一見して骨隆起があるので判る。
正面観を見ても歯根周りが筋骨隆々になる。
それだけ強い咬合力の持ち主だということだ。
その他に咬耗、緊密な咬合、ディープバイト、内側に傾斜した歯列、WSD、頬粘膜の歯列の圧痕などがある。

2018/12/03
かなりくたびれてきているw
骨隆起は全体的にボリュームが増しているように見える。
3456の延長型コーヌス義歯は20年経過しているが、まだ大丈夫だ。

上顎咬合面観

2002/03/29
左上345はコーヌス義歯だ。
コーヌス義歯というのは二重金冠を使った義歯のことで、外冠を取り外すことができるのでメンテナンスが容易だ。
また適度な遊びがあることが長持ちする理由ではないかと思う。
この画像は外冠を外している。

2018/12/03
硬口蓋には骨隆起がある。
16年前より大きくなったか?

下顎咬合面観

2002/03/29
開口度が悪く、鏡が曇り咬合面がよく写っていない。
舌側の骨隆起も少ししか写っていない。
このような画像は再撮影した方が良い。
意味がないからだ。

2018/12/03
舌側に大きな骨隆起が見える。他には舌の側面についた歯型、すり減った、あるいはチッピングして粗ぞうな咬合面など。
この画像は僕が撮ったものだが、こうでないと後で使えない。
患者が痛がるとか苦しがるというのは言い訳に過ぎない。
予防歯科の道は自他共に厳しい修行の道だ。

黒の矢印が今回問題の歯だ。

つづく

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