歯科医院長mabo400のブログ

I歯科医院の高楊枝通信。

今日の何やっているの?シリーズ415.01

 
この記事を書いている人 - WRITER -

60代女性、外傷性咬合による歯牙破折、ブリッジ脱離>上顎3〜3ブリッジ再製作 004318

前回の続きです。

少子高齢化の流れの中で、高齢者の歯科医療がどのような方向に向かっているのか、
県の保団連の研修会に行って昔歯学部で習った先生が講師をしていた中で、
要介護状態になった、もしくはその予備軍の高齢者の処置はどうするのか?

特に訪問歯科診療の現場では、診療室に来院できるギリギリの患者さんでは、

元気なうちに抜歯して、ちゃんとした総入れ歯を作る。
このちゃんとしたというのがミソなんだがw

こうした方が、中途半端に残存歯牙があると清掃不良になり、口腔内細菌の誤嚥その他の問題が発生することを防ぐことができる。
認知症が出てからでは、入れ歯を作ることも使うことも難しくなるだろうとか、身も蓋もない話になっている。
総義歯では咬合力は1/3に落ちて、まぁ、歯ごたえのある美味しいものは食べられなくなるのだが、
それは仕方がないのか?

実際僕は毎日1回、施設で寝たきりになっている父(かろうじて義歯は免れている)の口腔内清掃に通っているが、
一般の介護者には機械器具を使った口腔内清掃は難しいかもしれない。
歯科衛生士の訪問口腔ケアといっても、週一がせいぜいだ。
それでも極端な人材不足で制度はあるが現実には運用は難しい「絵に描いた餅」状態だ。

寝たきりになったら、口腔内の清掃は不十分になって、誤嚥性肺炎その他で亡くなる。
それもいいのかもしれない。
というかそれが現実だろう。

下手に口腔ケアなど完璧にしてしまうと、長生きしてしまうw

・・この方の行く末を考えると、どうなるのだろう。。と、つい考えてしまうのだ。
長年歯科医師をしていると、患者の口腔内がどうなっていくのか、目に見えるのだ。
経験を積んでいない若い頃には見えていなかったものが見えてしまう。
若い頃は覚えたての歯科医療技術を実際の患者で実践してみたくて、いろいろやってみるのだが、
現実はそう簡単ではない。

人間は変化(劣化)するのだ。

今は70歳前で元気だ。でも、後10年したらどうなるのだろう?
少なくとも今作っているこのブリッジはせいぜい数年しかもたない。
でも、するしかない。

全額にわたるインプラントが入っていて、今の所トラブルはない。
特に左上のインプラント手術はサイナスリフト+アパタイト顆粒埋入を伴った技術的には難しいもので、
全部で数百万、場合によっては1千万近い費用がかかっているものと思われる。

しかし、咬合高径は低くインプラント上部構造はギリギリの高さだ。
このインプラントをした先生も、前歯部のインプラントは打てても上部構造を入れる隙間がないので、
その時は咬合高径を挙げてまでのインプラント処置は見送って、ブリッジで対応したものと思われた。
しかし、そのブリッジも同じ理由で早晩ダメになることは容易に予想できる。

これが2018/03/12の初診時のレントゲン写真だ。

来院の理由は近々開腹手術をするので、脱離した前歯部ブリッジをどうにかしてくれ、という依頼がその病院からあったからだ。
全身麻酔時の経口挿管に支障があるからだ。
その時は1週間後にオペを控えていて、ちゃんとした処置は時間がなかったので、かなり問題があったが、カルボキシレートセメントで再装着した。

退院したら、なるべく早く来てくださいね。と念を押していたのだが。。

つづく

この記事を書いている人 - WRITER -

Comment

  1. より:

    なんか、インプラントの清掃不良か何かで、骨髄炎とか、歯周病による細菌感染による疾患等のことを考えると、入れ歯の方が良くないですか?

    咬合力は落ちるかもしれないし、認知症のリスクも増えるかもしれないけど、入れ歯なら外して洗えるし、そっちの方がマシな気がしてきました。

    • mabo400 より:

      日本の歯科医療はそちらの方向に進みつつあります。
      それは謂わば、歯科治療を放棄したとも言える、歯科医療行為として技術的には最底辺なのですが、
      高齢化社会の現場を目の前にして、それ以外の手が打てない、事実上全く手が回らない、野戦病院状態を迎えてしまったのです。

    • mabo400 より:

      要介護状態またはその一歩手前になると、抜歯>義歯作製と言う選択肢しか事実無くなるわけですが、
      その義歯すら手が回らなくて作れない事態となっています。歯科技工士も少子高齢化と極端なブラック業界が災いして後継者がいないですから。
      また日本の保険システムでは日本人の歯科技工士が作った義歯でないと保険請求できないので、
      海外(中国)外注で自費治療でしか義歯は入手できなくなるでしょう。
      当然患者の経済的な負担も増しますので、漏れる患者も増えるというか、義歯すら買えない患者だらけになるでしょう。

      要するに抜歯して終わりです。

  2. より:

    なんか、日本どうなるんでしょうね・・・。

    歯科技工士、建設、介護など、人手不足の分野に、外国人労働者でも入れるつもりなのでしょうか?

    我々がやりたがらないものを、外国人にやらせる、という考え方も失礼だし、どこか不健全。

    林業とか農業も高齢化が進んでいるし、先行きが不安すぎて、後継者が育たないでしょうね。
    地産地消の新鮮な野菜くらいは残るでしょうが、TPPで、林業や農業も、石油のように、かなりの部分を、外需に依存することになりそう。

    このままだと、大都市だけが肥大化していって、日本から田園風景が消え、山々が荒廃する気がして、ちょっとさみしい。

    つーか、義歯って歯科技工士が作るんですね。

    • mabo400 より:

      先行き厳しいでしょうね。。

      GDP世界3位でも、労働者の賃金水準ではOECD 35か国中18位(統計を盛っても)ですから、お金はどこに消えているのでしょうね?
      わかりますよね?ユダ金を始めとする海外勢上位1%に吸い上げられているということです。
      安倍政権は国民を騙してそういう政策を実行しています。
      そんな新興国レベルの賃金水準の国にわざわざ移民が来ますかね?w

      貞観地震の話もしましたが、同じように推移すれば、
      首都圏直下型地震は来年の2020年、南海トラフは2029年と迫っており、
      日本が主に輸入しているサウジの石油資源は2030年には事実上枯渇し、
      シェールオイルがどうなるか分かりませんが、
      相当な覚悟が必要でしょう。

- Comments -

メールアドレスが公開されることはありません。

Copyright© I歯科医院の高楊枝通信。 , 2019 All Rights Reserved.