歯科医院長mabo400のブログ

デジタルアンプ考

 
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表題画像はK先生のkW級のデジタルアンプのスイッチングノイズを除去するために先生が自作されたフィルターで、LCによる2次のローパスフィルターが3段構成になっており、合計-36dB/oct.というとんでもない高次のフィルターになっている。
これくらいでないと搬送波ノイズを除去できない。しかし、一緒にオーディオ信号も失われるのも事実だ。

デジタルアンプの起源は古く、最初のPWM方式のデジタルアンプは1977年製のSONY TA-N88というもので、先年亡くなられた西澤潤一先生の発明になるV-FET(SIT)があればこその製品だった。

西さんのサイトに詳しい解説記事が載っているので、参照されたい。

https://audio-heritage.jp/SONY-ESPRIT/amp/ta-n88.html

内部構成は現代のデジタルアンプと基本的には同じもので、電源もパルスロック電源と称している高周波を使う電源で、トランスの小型化ができるというメリットがある一種のインバーターだ。今の主流ではないのかもしれないが、高周波を取り扱う電源としては極普通の回路だ。


デジタルアンプ技術の起源は古く、1964年の最初の新幹線のモーター駆動用に作られた大電力用SITドライブ回路にあると言われており、デジタルアンプの技術はモータードライブの世界では当たり前の技術だ。
モーターとスピーカーは基本的には同じものと言ってもよく、スピーカードライブにデジタルアンプを使わない理由は高周波ノイズの問題が気にならなければ、ない、と言っても良い。

西さんのサイトの記事の最後の部分を引用するが、やはりノイズの影響は深刻だ。

「PWMアンプ部及びPLPS電源部は、各々500kHzと20kHzという高い周波数を扱っています。このため、各々の周波数やその高調波が発生して相互干渉したり、外部機器に影響を与えてしまいます。
これを防ぐため、TA-N88では、AC入力、スピーカー出力、インプット端子などに対し、高調波をトラップするフィルターを装備しており、周波数がリークすることを防止しています。
また、アルミ全体がアルミダイキャスト製のシールドケースになっているため、高周波パルスが外に漏れません。」

全ての入出力にフィルターが必要になると言っても良い。ただ、高周波発振しているパワーアンプの音が妙に良いという経験をすることがあり、高周波ノイズがあった方がスピーカードライブには良いのではないか?という議論もある。高周波バイアス方式の磁気テープ録音と同じような微振動領域のヒステリシスやリニアリティーを改善する効果があるのかもしれない。

オーディオ信号に影響を与えないフィルターを作ることは非常に難しい、もしくはできない、できても多大な時間とコストがかかるということは指摘しておかねばならないと思う。
CDのサンプリング周波数に起因して必要になるノイズフィルターに四苦八苦している身としては、
できることならこのようなフィルターは使いたくない、というのが僕の本音だ。

電源や空中から入ってくるノイズによる音質の劣化はひどいもので、僕が音質劣化を嫌いフィルターなしで作る機械はノイズの多い都市部ではとても音楽を聴けたものではないという経験をした。それで東京は住めるところではないと思い、田舎に引っ越してきたというのも事実だ。

僕がPCオーディオをやらない理由もそれで、PC自体がノイズ源だし、PCの電源アダプターはひどいノイズ源というかノイズを撒き散らす。Macのサードパーティのものは信じられないほどのどでかいノイズを垂れ流している。これらはジージーザーザー実際に雑音として聴こえるのだが、ノイズはなく単に音質が劣化するとして聴こえるものもある。なんとも気持ち悪い。気になっておちおち音楽など聴いていられない。

近年デジタルアンプが普及し始めた理由はやはり小型軽量化のトレンドはどうしても避けられないだけではない。以前は高価だったデジタルアンプが今は非常に安い、これは為替の問題なのか、異常に安い中国製デジタルアンプの席捲によるものだと思う。
決してデジタルアンプが最新の技術だというわけではない。

では僕がデジタルアンプを使うかというと現時点ではフィルターの問題の他にも出力インピーダンスをいじれないなど色々と制約があるので採用できない。
スピーカーは少なくとも可聴帯域の上限20kHzまでは再生できないと計測機器もしくはHiFi機器としては商品にはならないという前提では厳しいのではないかと思う。上限が20kHzなら30k〜40kHz程度までは再生できる必要があるからだ。
スピーカーの再生帯域の上限が10k〜15kHz程度の一般的な人にとって十分なものなら、スピーカー自体が急峻なローパスフィルターになるので、少々のデジタルノイズの問題は気にならないはずだ。

アンプ自体のデジタル化はまだ時期尚早だとしても電源のデジタル化(インバータ化)は十分実用範囲だと思う。なぜなら、電源とは直流以外は出てはいけない、フィルターそのものだからだ。しかもノイズ対策は電源だけで良いので気が楽だ。

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Comment

  1. ロミエル より:

    いろいろ詳細ありがとうございます。
    記事をみていると’91年頃に放送された電子立国を思いだします。
    かぶりモノとゴーグルを着けて材料を削ったり、
    装置がデカ過ぎてフロアをぶち抜いて設置したり。
    感電は茶飯事。
    今の高度な技術の基礎はとても泥臭くエキサイティングでした。

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