歯科医院長mabo400のブログ

I歯科医院の高楊枝通信。

チャージコントローラ4(回路図の読み方) (4)

2017/03/21
 
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この図はもうリンクが切れてしまっているのですが、
並列制御型のバッテリー充電コントローラを推奨されていたあるサイトからお借りしたものです。
うちで作っているチャージコントローラはこの回路図をアレンジしております。
いつも引用させていただき、ありがとうございます。

この回路図を例にとって、回路図の読み方というものを解説してみたいと思います。
回路図の読み方というものは特に難しいことを知らなくても、
ちょっとしたポイントを押さえれば誰でも読めるようになります。

#「オームの法則」を理解している、というのが回路図を読む上での大原則になりますので、
これだけは外せません。
#じつは「オームの法則」さえちゃんと解っていれば、回路図は読めるということです。

#では、「オームの法則」とは?
#抵抗器に電圧をかけると電流が流れる。逆に抵抗器に電流を流すと抵抗の両端に電圧が発生するということです。

式で表すと、I=E/R または E=I・R またはR=E/I

I:電流:単位A(アンペア)
E:電圧:単位V(ボルト)
R:抵抗:単位Ω(オーム)

#たったのこれだけです。具体的にどういうことかは、上の回路図で計算していきます。

A 、回路図では(なるべく)上がより電圧が高くなるように書く。

という原則がありまして、直観的に解りやすく描くように配慮されています。

このように電圧が高い方を上に描くと、電流の向きは常に下向きに流れますので、オームの法則やキルヒホップの法則の理解が容易になります。

なぜなら、電流を水の流れと同じに見立てることができるからです。
つまり、水(電流)は高いところから低い方へ流れ、
水道管の太さが一定なら、その流量は落差(電位差)に比例する。
落差(電圧)が同じなら、流量(電流)は水道管の太さ(抵抗)に反比例する(オームの法則)。

そして回路が閉じていれば(漏れが無ければ)、上流で分流させれば、必ず下流で合流する(キルヒホップの法則)。

これなら直観的に誰でも分かると思います。

上方が電圧が高く描いていない回路図は、このように描き直すと理解が容易になります。

後で具体的に検討する予定です。

B 、黒丸で配線がつながっているところは実際に接続されている。交差していても黒丸がない線は接続されていません。

C 、記号の説明です。

1、図で「+」と書かれてあるところが電源であり、PVモジュール(太陽電池)の入力ポイントでもあり、バッテリーへの出力ポイントでもあります。具体的にはPVモジュールの+の線を逆流防止のダイオード(記号は図に書き込みの1と同じ)を直列に介して、「+」に接続し、バッテリーの+を直接接続します。

2、図で「G」と書かれているところがGround:地面:基準電位:0V です。

3、図中で1と手描きしている部品は「ダイオード」という半導体の一種で、矢印の向きにだけ電流を流し、反対方向には流れません。
「ダイオード」の両端の電圧(Vf:順方向電圧)は約0.6Vと決まっています。シリコン半導体のPN接続の順方向電圧(Vf:ブイ・エフ)は約0.6Vですので、覚えてください。

この回路では同じ電流なら、温度が低いとVfは大きくなる、温度が高くなるとVfは小さくなるという性質を持ちますので、これを利用して、バッテリーの温度を検出して、制御電圧を変えています。
また、電流が増えるとVfも増え、電流が減るとVfは減ります。Vfと動作電流は指数関数の関係にありますが、ここでは解説しません。Vfがちょっとだけ変化しても電流は大幅に変化するということだけ押さえてください。

参考画像1:ダイオードの温度特性、x軸がVf、y軸は動作電流
424_dependence on temperature.png

4、図中で2と手描きしている部品は「ツェナーダイオード」とよばれ、矢印と反対方向に電流を流すと所定の電圧が得られるので、「定電圧ダイオード」ともよばれます。この場合3.7Vと書かれていますので、流す電流値にかかわらずこの部品の両端には3.7Vの電圧が発生しています。種類は規格があって2.2V位から100V以上まであったと思います。この回路ではボルテッジ・レベルシフターとして使われています。

5、図中で3と手描きしている部品は「定電流ダイオード」とよばれ、この場合2mA(ミリアンペア)の電流を両端の電圧に関わり無く流します。この回路での機能は1の「ダイオード」と2の「ツェナーダイオード」に一定の電流を流し、理想的な動作を保証しています。これも様々な電流値の規格があります。

6、「抵抗器」は分かると思います。
実装に際しては、熱損失を考慮します。動作原理は流れる電流を熱に変換して電圧を下げることだからです。
要するに最悪の場合、焼損して火災になることも考えられるからです。
通常は1/2W(0.5W:500mW:Wはワット:仕事率)の損失に耐えるものを使います。
どういうことかというと、例えば図の2.2KΩの抵抗には流せる電流値に制限があるのです。
P(パワー:単位W)=I×E=I×I×R ですので、I=√(P/R) より、
I=√(500/2.2)=15.07mA が最大電流となります。熱が出ますので、実用的にはこの半分以下で使うのが普通です。
この回路では1mAしか流れていませんので、問題無しです。

「セメント抵抗」はセメントで固められた熱に強い抵抗器で熱損失が大きく、
ここでは20Wという大きな損失に耐えるものを使っています。あとで詳細を検討してみましょう。

緑色の「半固定抵抗器:VR(バリアブル・レジスター)」はボリュームの事で、→を上に上げると上半分の抵抗が減り、下半分の抵抗が増えるということです。この回路では「+」と「G」間の電圧を分圧する機能を持っています。抵抗と電圧は比例するからです。

7、4と手描きしている部品は「トランジスター(Tr:ティー・アール) 」です。Trも半導体の一種です。

半導体とよばれる理由は外部からの何らかの制御方法(電圧、電流、熱、光、磁気などのエネルギーを加えること)により抵抗値を変化させることができるという意味です。

ここで使われているものは、2SA1015というPNP型トランジスターとよばれる品種です。
Trには足が3本あり、上(電圧の高い方)からE:エミッター、B:ベース、C:コレクターです。

#動作条件はEはBより約0.6V高い。CはE以下の電圧であること。
#最大定格、特に最大コレクター損失(Pc:ピー・シー)を越えないこと。(2SA1015の場合Pc:400mW)

壊さないために最低限覚えるのは、これだけです。

動作原理は知らなくても差支えありません。
#ただ、EからBに電流が流れると、呼び水を打ったようにEからCに数百倍の電流が流れる。
#EからBに流れる電流(Ic:アイ・シー)は外部からE-B間の電圧(Vbe:ブイ・ビー・イー)を変化させることにより制御できる。

ふつうのTrのVbe(x軸)とIc(y軸)の関係は指数関数ですので、傾き(変化率)は急です。
要するに小さな電圧変化で動作電流が大きく変化するということです。参考画像2を参照。

そして、ダイオードと同じく正の温度係数を持ちます。
温度が上がると電流が増え続け熱暴走という状態になり焼損します。これには温度補償というリスクヘッジが必要になるということです。

参考画像2で温度が上がると電流が増えるということを解説してみます。
25℃において、Vbe:0.5Vを印可しても0mAですが、Vbe:0.6Vを印可すると2.5mA流れます。
100℃においては、Vbe:0.5Vでは7mAですが、Vbe:0.6Vでは図からはハミ出るので分かりませんが、50mA以上流れるように見えます。
損失電力は電圧と電流の積ですので、電圧と電流の両方増えると損失電力も増え、損失電力が増えるとさらに温度が上昇し、温度が上昇すると電圧も電流も増えるという悪循環に陥ります。
これを正の温度係数(単位:V/℃)を持つと表現します。

x軸上の0.5V、または0.6Vから縦方向に線分を伸ばし、特性曲線に交差する点から水平方向に引いた線分とy軸との交点の値を読んでください。

この辺りは実際の回路で検討予定です。

これだけ知っていれば、トランジスターは使えるのです。

参考画像 2:2SA970 のVbe-Ic曲線
2011010612332026e.png

8、次に5と手描きしているパーツですが、MOS-FET(モス・エフ・イー・ティー)とか、MOS型FETとかよばれているトランジスターの一種です。やはり足が3本あり、上(電圧の高い方)から、D:ドレイン、G:ゲート、S:ソースで、
動作条件は電圧がS<G<Dであることです。それぞれ銘柄により最低もしくは最大印可電圧があります。

#機能部品としては、GS間の電圧(Vgs:ブイ・ジー・エス)によりD−S間に流れる電流(Id:アイ・ディー)をコントロールできるという性質を利用します。

2SK3163 という銘柄で実際にデータシートを見てみますと、

http://akizukidenshi.com/download/2sk3163.pdf

ここのTypical Transfer Characteristics のVgs-Id 曲線を見ていただけると分かりますが、
Vgsが変化するとIdが変化する。その曲線は2次曲線近似です。(参考画像2参照、銘柄は違います)
2SK3163の場合、Vgsが2V〜3.5Vの範囲でIdを0A~70Aコントロールできると読めます。
もちろん壊さない為に最大定格以下で使います。

#動作原理は水道の蛇口を開け閉め(Vgsを変化させて)して、水(Id)を出したり止めたりする程度の理解で十分です。

MOS-FETはゼロクロスポイントという温度係数を持たない点があり、FETは一般に熱暴走はし難い素子です。
以下の参考画像3のId:7A付近、曲線が1点で交わっているところが、温度が変化しても電流も電圧も変化しないゼロクロスポイントです。
このゼロクロスポイントより大きな電流になると負の温度係数になり、温度が上がると、電流が減り、温度だ下がるという、温度的には比較的安全な素子と言えます。

参考画像3: 2SK2231 のVgs-Id 曲線

images.jpg

D、以下は余談ですので、この回路の場合は知らなくても大丈夫です。
トランジスターもMOS-FETも同じですが、半導体が増幅作用があるといわれる理由の1つを解説してみます。

参考画像2、3、の特性図をご覧下さい。

x軸Vが入力電圧というか制御電圧、y軸が出力電流。
出力電流をC、D側に抵抗を付けて電流→電圧変換して出力電圧とすると、
入力電圧と出力電圧の比、電圧増幅率が分かります。

電圧増幅率=出力電圧/入力電圧(厳密にはそれぞれの電圧の変化分です)

・・ということで、役者は揃いましたので、
いよいよ、実際の各部の電圧や動作がどうなっているかを検討してみます。

どんなに複雑な電子回路でも基本的にはこれだけです。
なんだか、簡単ではない、というご意見をお聞きしましたので、
しばらく反省してみたいと思います。

とりあえず、#を付けている文だけを理解できればOKです。

通常のトランジスターをFETと同じように電圧制御素子に見立てているのが変だといわれる方もいらっしゃるでしょう。
小信号トランジスターの場合、入力インピーダンス(交流的な抵抗)は50kΩほどありますので、トランジスターを電圧制御素子に見立てる考え方は成り立つと私は思います。(この回路の場合重要ではないので、スルーしてください)

もっと詳しく知りたい方は、キーワードをご自分で検索して調べてみてくださいね。

つづく。

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