音の良いレコードシリーズ8

      2017/02/26


Lee Ritenour リーリトナー / Gentle Thoughts 【CD】

デジタル録音でなぜハイレゾがいいのか?と訊かれますが、単純に分解能が高いから、というのはちょっと不正確なのです。
アナログ/デジタル変換の基礎となるサンプリング定理やエイリアスノイズの話をしないといけないのですが、めんどうなので、ご興味のあられる方はご自分で検索してみてください。例を挙げておきますので。

http://www.tij.co.jp/dsp/jp/docs/dspcontent.tsp?contentId=53936

http://www.sophia-it.com/content/エイリアシングノイズ

http://nw-electric.way-nifty.com/blog/2013/10/post-38c3.html

アナログ/デジタル変換を正確にするための原則は、サンプリング周波数の1/2(1/2fs)以上の周波数が入力されてはいけないとか、デジタル/アナログ変換するときにサンプリング周波数の1/2の周波数を鏡にして折り返すような信号が発生する、とかデジタル特有の現象があり、対策をしないと、そういう信号はノイズないし歪み、高域の周波数特性の劣化などとなって現れ、それなりに聴こえます。

そこで、デジタル的なオーバーサンプリング・デジタルフィルターとか高次のアナログのフィルターで入出力の信号を1/2fs以下に制限するわけですが、それが音質劣化の大きな原因の1つになります。フィルターを構成するデジタル演算の精度、アナログ回路による音質劣化がそれです。

ハイレゾ録音には、こういうデジタル処理にともなう原理的な音質劣化の原因を根本的に取り除くことができる可能があるわけです。1/2fsが可聴帯域の遥かに上になるわけですから。CDのfsは44.1kHzですが、1/2fsは22.05kHzとなり、可聴帯域上限の20kHzに近く、入出力信号に影響を与えないで帯域制限(フィルトレーション)するのが難しいということがお解りになると思います。

で、今日のお薦めCDですが、ロミエルさんがお好きなデイブ・グルーシン達の始めたフュージョン系の音楽。表題のCDは元々ダイレクトカットのLPレコードとして2万枚(記憶が正しければ)限定で発売されたものの音源をアナログテープでパラ録りしたものをデジタル化したものです。ダイレクトカットというのは、テープレコーダーを介さないで直接ラッカー原盤に刻むという荒技で、LPの1面が終わるまでは、休めない、間違えられない、ものすごい緊張に耐えられる高度な演奏技術が求められるわけで、誰にでもできることではありません。

音質はダイレクトカット盤にはわずかに鮮度が及ばないもののそれなりに楽しめます。まあ、ダイレクトカット盤というのは1/2fsとかとは全く関係のないプロセスの単純化を追求した異常な高音質ですから。今では考えられないでしょう。

 - オーディオ, ドクターのつれづれ。